日本一の書評
2016年02月20日(土)

おもちゃコレクター・北原照久さんの「わが人生最高の10冊」
~本が人生を動かす力を後押しをしてくれる

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僕は兄二人、姉一人の四人きょうだいの末っ子で、僕以外はみんな勉強ができたんです。一方の僕は、勉強は苦手だけれど、子供の頃から本が大好きだった。漫画本や童話はもちろん、推理小説なんかも、よく読みました。大人になってからも読書で感動して、影響を受けたことは多いです。

1位の『原宿ゴールドラッシュ』は、30歳を過ぎた頃に出会った1冊。卒業した大学が原宿に近かったこともあって、書店でタイトルが目に飛び込んできたんです。で、手に取ってみたら、一気読みでした。僕が求めていたのは、これだ!と心が沸き立ちましたね。

というのも、当時は僕の親がスポーツ用品の会社を創業して、兄も事業を手伝うようになっていました。僕自身、商売に関心はあったし、兄弟が力を合わせて親の会社をもりたてていくことが一番の親孝行だと思ってはいたんです。

ただ一方では、親の敷いたレールに乗ったままでいいのか、という疑問も心の中では抱いていました。

そんなときに、原宿周辺にいろいろなお店を出していた山崎眞行さんの半生が書かれたこの本に出会ったわけです。

彼はのちに巨万の富を手にする人ですが、初めから原宿で成功したわけでも、お金があったわけでもなかった。けれども、情熱や人との出会いでステップアップしてきたんですね。もちろん、そこには喜びもロマンもあるんだけど、死のうと思ったぐらいの挫折もあったと書かれていたんです。

僕にとっては非常に印象的な言葉がいくつかあるんですが、例えば終盤に書かれた、「レジが鳴りやまない」という表現。商売をやっている人間にとっては、まさに天使の囀りですよね。自分も、自分自身の手で、やりたい仕事をやって、そういう体験をしてみたいと心底思ったし、そのためには今、一歩を踏み出すべきだ、と強く背中を押された気がしました。

実際に独立したのは父が亡くなったあと、37歳のときです。家族からは大反対されたし、すぐにあきらめると思われていたようです。けれども、山崎さんの本が僕の心の支えになっていた。この1冊があったから、いまの僕があると言っても過言ではありません。

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