経済の死角

ドライブイン経営の老姉妹が5000万円脱税で刑事告発〜「見せしめ」効果を狙う徴税権力の情け容赦ないやり口

2016年02月12日(金) 週刊現代
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〔PHOTO〕gettyimages

確定申告のシーズンを目前に控え、この時期は脱税の摘発が多くなるという。納税者への注意喚起が、国税の「隠れた意図」だ。富裕層への「見せしめ」効果も狙う、徴税権力の情け容赦ないやり口。

「どこにそんな現金が」

世界的な自動車メーカー、トヨタ自動車の企業城下町である愛知県豊田市に隣接し、自動車部品工場がいくつも点在する安城市。国道1号線が町の東西を貫き、大量の貨物を積載した大型トラックがひっきりなしに道路を行き交う。

かつてロードサイドには、「ドライブイン王将」という長距離ドライバーの憩いの場があった。今はもうない。国道1号線の拡張工事に伴って、十数年前に閉店した。

そのドライブインを経営していた母親から相続した遺産をめぐり、老姉妹と妹の夫が、脱税容疑で名古屋国税局に刑事告発された。相続した現金2億円を隠して、相続税5000万円を逃れた疑いがあるという。

仮に、亡くなった母親を島原カヨさん('13年死去、享年84)、姉を山田洋子さん(67歳)、妹を島原由紀子さん(65歳)、その夫を島原友彦さん(70歳)とする。「ドライブイン王将」を開業したのは、カヨさんの実弟(85歳)だった。ドライブイン王将の歴史は、日本のモータリゼーションの歴史と軌を一にする。

この実弟が昔の話をしてくれた。

「昭和36年頃のことだった。私は庭師として働いていたんだが、仕事先の食堂がやけに流行っていることに気づいたんだ。観光バスがどんどん来て、お客がひっきりなしに入っていた。それで思いついたんだ。国道沿いで食堂をやれば商売になることにね。私は小作農の倅で、当時は田畑屋敷を抵当に入れても、カネを貸してくれる金融機関などなかった。ようやく話がついて借りたカネは、金利が年9.5%だった。

だから死に物狂いで働いたんだ。電気も井戸もない場所だったから、自分で電気を引いたり、地べたを整地したり、できることは何でもやった。あたり一面、畑ばかりで何もないところだったんだ。ただ、目の前の国道1号線にはたくさんの車が走っていた。昭和38年に開店してしばらくすると、常連さんたちがついてくれた」

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