愛の履歴書
2016年01月30日(土) 小野 美由紀

結婚という「制度」は本当に必要ですか? 
女性装の東大教授が見つけた「新しい家族」のカタチ

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日本の戦後社会を構築したシステム「立場主義」と、軍隊流の「ホモマゾ社会」が日本の男たちを苦しめていることに気づき(第1回はこちら)、女性装を通じてそれから離脱した(第2回はこちら)東大教授・安冨歩(52)。

彼(彼女)は、現在の日本では未だに当然のことと見なされている「結婚」や「家」といった社会制度についても疑問を提起し、「これまでどおりの家族の形を無理に維持しようとする事は、現代においてはむしろ<反社会的>ではないか」と鋭く切り込む。

私たちが「ありのままに」生き、心地よい人間関係を築くために、追究するべき家族の形とは、一体どのようなものなのだろう?

結婚の絶対視が、人を歪ませる?

「日本の“家”制度なんて、とっくの昔に崩壊しているんだよ。明治維新で構築した徴兵制がその最大の原因。家単位の動員を否定して、個人単位にしてしまったから。さらに、高度経済成長で家制度は息の根を止められた。それなのに、実際はとっくに機能しなくなってるシステムを、みんなで理想化し、守ろうと躍起になっているでしょ。できないことをやろうとするから混乱する。ここから生じる関係性のひずみが、虐待や引きこもり、果ては家族同士で殺し合うような事態にまで帰結する」

第二次世界大戦と高度経済成長とが家制度を根底的に破壊し、代わりに「立場主義」を新しい社会システムとして盤石に根付かせた。家制度ははるか昔に崩壊し、それを引き継いだ立場主義さえも、その経済的な基盤が崩壊して機能しなくなった現代に、人々は今も「家」の幻影を追い求めているが、それはもはや倒錯的だと安冨は言う。

「今の日本人の考える家族像って、単なる幻想。半世紀前に崩壊した『家』という括りを異様に重んじて、囚われて、苦しんでる。ただの“腐れ縁”なのに“家族だから”って言われると、罪悪感にとらわれてしまい、抜け出せない。だから不幸になる」

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