歳川隆雄「ニュースの深層」
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甘利スキャンダルを吹き飛ばすための、安倍官邸の「奇策」

2016年01月23日(土) 歳川 隆雄
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【PHOTO】gettyimages

地下道を通って逃げた?

『週刊文春』(1月28日号)が報じた甘利明経済財政・経済再生・TPP相の「金銭スキャンダル」は安倍晋三政権を直撃、1月29日に始まる衆院予算委員会を前に、同大臣の去就が焦点になっている。

22日付の『朝日新聞』(朝刊)は一面トップで「甘利氏 与党から進退論―金銭授受、業者と面会認める」、そして『産経新聞』(同)も「甘利氏 進退論くすぶる―金銭授受疑惑、辞任否定『記憶あいまい』」と、同氏の辞任不可避のトーンで報じた。

『週刊文春』の発売は21日だが、その見本刷りは前日20日午前には永田町関係者の間で読まれていた。この金銭疑惑報道が駆け巡った20日夕に首相官邸で開かれた月例経済報告関係閣僚会議後、所管大臣である甘利氏は当然ながら記者団の質問を受けることになっていたが、いつの間にか所在不明となった。

首相官邸と道路を隔てた内閣府との間には地下道があり、記者団を避けて内閣府に戻ったようだ。

実は、この地下道が「要注意」である。新聞報道にあるように、甘利大臣は、文春側から取材を受け、記事が掲載されることを19日に安倍首相に報告していたという。19日と20日の「首相動静」をチェックする。安倍首相は19日夜8時18分に、20日夜7時18分にそれぞれ官邸から公邸に移り、その後の動静は不明である。

従って、甘利氏が19日に直接安倍首相に報告していたとすれば、20時18分以降に公邸を訪れていたということになる。

菅義偉官房長官と親しい某野党幹部は20日夜筆者に対し「甘利さんが菅さんも同席した安倍総理との会談で仔細を報告、と同時にニュージーランドで2月4日に開かれるTPP交渉調印式には是非とも出席したい。その後の私の身柄は総理にお預けすると語ったと聞いている」と述べた。

一方、別の官邸関係者は異なる情報を筆者に伝えてきた。「甘利大臣は20日の月例経済報告関係閣僚会議直後の行動の逆パターンで、同日夜8時過ぎに安倍総理と菅官房長官が待つ公邸に官邸経由で入り、3人で協議したようです。総理が、潔く退きたいとする甘利大臣を何が何でも守るのでここは耐え忍んでくださいと説得したというのです」

真相は藪の中である。ただ言えることは、安倍首相にとって甘利経済財政・再生相は、2012年9月自民党総裁選挙時の安倍選対事務局長であっただけではなく、現在は言わば「精神安定剤」的な存在であり、その甘利氏を手放すことはアベノミクスの司令塔を欠くと同時に、精神的なダメージとなるというのである。

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