小川和也の「デジタル・ドリブン」

人工知能は人間の仕事を奪い、「生きる意味」という難問を突きつける!【特別対談】

『WIRED』日本版編集長×小川和也(後編)

2016年01月24日(日) 小川 和也
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【PHOTO】iStock

人工知能は間違いなく人間の仕事を奪っていく。では、奪われた後、人間はどうなってしまうのか? 人工知能を研究する小川和也氏と、『WIRED』日本版編集長・若林恵氏の特別対談!(buddyz[http://talkshow.buddyz.life/event/22/]主催。前編「人工知能はなぜ囲碁で人間に勝てないのか」はこちらより)

人工知能はすでに人間の仕事を奪っている

若林:うちの編集部に、マンガの編集をしていた人が入ってきたのですが、彼が「巻物でマンガを作りたい」と言うんですね。なぜなら、漫画家はページのめくり方で時間を操作しているんだと。確かに巻物だと時間の推移がわからないから面白そうだと思いました。ちなみに、巻物は英語で “Scroll” というんですが、巻物の前は石盤で「タブレット」と言います。つまり、人類史的に見ると僕らはスクロールからタブレットにどんどん回帰しているんです(笑)。

出版という分野において、紙を束ねて止めて本にするというのは非常に大きな発明だったわけですね。今、電子書籍でやっていることはそうして束にされたものをただ電子化するだけ。デジタルそのもののスクロール性、タブレット性を本当に宿しているのか、などと疑問符をつけたくなるわけです。

ウェブでの表現の形式というのは、実はまったく開拓されていないのではないかという感覚にもなりますし、だからウェブは「ウェブの独自性」を獲得できていないのではないか、ということは思ったりしますね。

小川:紙メディアのデジタル対応について、若い人は紙のものを読まないので、デジタル対応しなきゃ、すなわちスマートフォン対応みたいな話になるわけですね。一元的にはそうなのですが、機能性の拡張、付加価値については、デジタルの中にただそれを置き換えるだけでは語りきれないものが多々あると思うんです。

もっといえば、あらゆるものを電子化することだけが次の時代に進んで行くということでもないように感じています。その辺はどうお考えですか?

若林:僕らはメディアイコールマスメディアという時代を長らく生きてきて、デジタルの時代になったから無理にマスのものをデジタル、ソーシャル化していこうとするとおかしな状況になる。元来が別のメディアなはずなので、そこを突き詰めちゃうと「そもそも情報、メディアって何だっけ?」という非常に厄介なところにまで入り込んじゃうといいますか。

先ほどの人工知能によって人間の仕事がなくなるかどうかの話でいえば、インターネットが登場して業界の有り様が変わった時点で、仕事は既に変質しているんです。

小川:人工知能に奪われる前から、もう既に奪われている仕事があるかもしれない、と。たしかに、「あ、いま奪われた」っていうのはあまりないわけで、気づいたらいつの間にかそうなっていたということなんですよね。

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