川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」

ドイツがついに中国を見捨てた!? 激変したメディア報道が伝える独中「蜜月時代の終焉」

2016年01月15日(金) 川口 マーン 惠美
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昨年10月末にも北京を訪問したメルケル首相だが 〔PHOTO〕gettyimages

ドイツと中国の蜜月関係

ドイツにおける中国報道が、ここのところ面白いほど変化してきた。

去年の半ばぐらいまで、ドイツメディアはとにかく中国贔屓で、聞こえてくるのは中国経済が力強く伸びていく話ばかりだった。「中国はあれも買ってくれる、これも買ってくれる」、「それも千個ではなく十万個」といった竜宮城のような話だ。

日本で報道される中国の姿とのあまりの差に、私はしばしばビックリし、どちらが本当だろうかと考え込むことさえあった。

中国詣でを熱心にやり始めたのはシュレーダー前首相で、十年以上も前のことだが、その後を継いだメルケル首相は、最初の2年ほどはダライ・ラマに会うなどして中国側の機嫌を損ねたものの、それ以後はシュレーダー首相を超えるほどの蜜月外交に徹し始めた。

毎年、大勢の財界のボス達を伴って北京を訪問しては、自動車を売り、エアバスを売り、ヨーロッパでは放棄した超高速鉄道も売って、「中国はドイツにとってアジアで一番重要な国」と言った。主要国サミットのニュースで聞いた、「アジアの代表は日本ではなく中国ではないか」というアナウンサーの言葉を、私は忘れることができない。

当然のことながらドイツでは、中国に進出しなければ時流に乗り遅れるという機運が熱病のように蔓延し、産業界はずっと前のめりの姿勢が続いた。そしてメディアが、それらをサクセスストーリーとして報道し、同時に、中国と仲良くできない日本を皮肉った。

そうするうちに、ドイツの市場には中国製品が溢れ始めた。ドイツが率先して進めた太陽光発電では、中国政府の補助を受けたパネルメーカーが、ドイツ政府が太陽光発電者に出した補助金のメリットまでをも吸収して、どんどんシェアを広げた。

当然、ドイツのパネルメーカーは価格的に太刀打ちできず、次から次へと倒産した。しかし、それでも、中国のダメージになるような報道は、ドイツではほとんどなされなかったのだ。

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