真壁昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」

経済オンチぶりを露呈した中国政府の「浅はかな株価対策」

2016年01月11日(月) 真壁 昭夫
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【PHOTO】gettyimages

力で押さえ込もうという中国政府の愚かな考え

中国発の市場混乱の懸念が、世界の金融市場を振り回している。その背景には、中国経済の減速、株式市場でのサーキットブレーカーの発動、人民元の基準値引き下げなどが上げられる。世界的な原油価格の下落も重なり、多くの大手投資家がリスク回避的に動いており、当面、世界の金融市場は不安定な展開になるだろう。

特に重要なポイントは、中国政府が市場での売り圧力を人為的に食い止めようとしていることだ。共産党政権は力づくで、市場を押さえこむことができると過信している。そうした対応をとる限り、投資家の不安心理は高まりやすい。市場がより不安定になりやすい、ということだ。市場を長期間、力で抑えつけることはできないだろう。

今回の市場混乱を考える上で重要なことは、中国政府の高圧的な政策だ。特に、為替、株式市場での当局の力づくで押さえつける対応は、むしろ投資家の懸念を煽ってしまった。その背景には、中国経済の減速が一段と鮮明化していることがある。

昨年末から8日まで、人民銀行は人民元の基準値を1%以上引き下げた。これが人民元への売り圧力を高め、資本流出懸念を引き起こした。12月の外貨準備の減少額が過去最大だったことも重なり、人民元への売り圧力は高まった。

その結果、当局は為替相場でドル売り介入を行い、人民元の過度な下落を食い止めざるを得なくなっている。今後、人民銀行は為替相場での投機的な取引に対する監視を強める可能性もあり、市場に対する管理はより強くなるだろう。

また年初以降、深セン、上海の株式市場は10%程度下落した。市場の混乱を防ぐために、当局はサーキットブレーカーの発動による取引の停止、株式市場への介入や大株主に対する株式売却の制限を打ち出した。特に、7日には取引開始後30分足らずでサーキットブレーカーが発動し、終日取引が停止された。

当局は、度重なる売買停止の影響を懸念してサーキットブレーカーの停止を発表した。しかし、多くの投資家は当局の対応力や市場の流動性に不安を感じている。その結果、投資家が現金化を急ぎ、中国株の投げ売りが連鎖的に起きるのではないかという懸念も高まっているようだ。

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