歳川隆雄「ニュースの深層」
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北朝鮮の核実験で一気に高まった「衆参ダブル選」の可能性

2016年01月09日(土) 歳川 隆雄
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【PHOTO】gettyimages

核実験と総選挙の関係

正直言って、北朝鮮が年初の1月6日に「初の水爆実験」を強行するとは想像すらしていなかった――。

朝鮮中央通信は昨年12月10日、金正恩労働党第1書記が首都ピョンヤン市内の平川革命事跡地を視察した際、「我が祖国は自衛の核爆弾、水素爆弾の巨大な爆音を轟かせることのできる強大な核保有国になることができた」と語ったと報じたが、国内のコリア・ウォッチャーはいつもの眉唾モノ、誇大宣伝と受け止めた。筆者もまた然り。

それだけに、「水爆実験」の第1報に接した時の驚きは大変なものだった。奇しくも筆者は同日午後、拉致問題解決に向けた進展を含む日朝関係改善の可能性に関する取材を受けていたところだった。

韓国国防部が指摘しているように、4回目の今回の核実験は「水爆」ではなく、「ブースト型核分裂爆弾(強化原爆)」であることはほぼ間違いようだ。最終特定には日時を要する。

だが、この核実験が「水爆」であれ「強化原爆」であれ、昨年9月に参院本会議で成立した平和安全保障関連法の廃棄を統一スローガンにして野党共闘を実現し、今夏の参院選(or衆参同日選)を戦うという民主党(岡田克也代表)の選挙戦略に狂いを生じさせたことは否定できない。

安倍晋三首相が昨年の安保法制国会の答弁で、繰り返し示した集団的自衛権行使の「新三要件」のひとつの「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係がある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」が、果たして今回の核実験強行に当てはまるのかどうか。

それはともかく、現在、ネット上で交わされている反応を見る限り、この核実験が国内のナショナリズムを喚起する要因となったのもまた否めない事実である。と同時に、最近の若者世代の保守化現象を掻きたてている。

それが意味することは、ハッキリしている。今月半ばから下旬にかけてマスコミ各社が実施する世論調査の内閣支持率として表われるということである。安倍政権の支持率に厳しい数字が出る傾向にある『朝日新聞』の調査でも、恐らく3~5ポイント支持率上昇という結果になるのは間違いない。

それはとりもなおさず安倍首相による衆院解散・総選挙時期の判断に関わってくる。元旦の『朝日新聞』は一面左下で「首相、衆参同日選も視野―夏の参院選 将来の改憲意識」の見出しを掲げ、「参院選と同時に衆院選を行う衆参同日選も選択肢に、政権運営に臨む考えだ。」と報じた。

『日本経済新聞』(4日付朝刊)は「くすぶる『衆参同日選』―解散と消費増税、絡む思惑」、『読売新聞』(5日付朝刊)も「衆参ダブル選 くすぶる―与党『増税後なら逆風』、首相『考えていない』」と、それぞれ衆参同日選の可能性が強くなったとフォローした。

もちろん、安倍首相は4日の年頭記者会見で全面否定し、6日夜の経済界トップとの会食の席でも否定してみせた。だが、永田町関係者で首相発言を額面どおりに受けと取る向きはほとんどいない。

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