読書人の雑誌『本』より
2016年01月23日(土) 伊藤隆

「大政翼賛会」はニッポンの政治思想に何を残したのか

近衛文麿のブレーン「佐々弘雄」の知られざる秘話

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第一次近衛内閣。下段右から二番目の人物が近衛文麿 [PHOTO:wikipediaより]

(文/伊藤隆)

学術文庫の1冊となった『大政翼賛会への道―近衛新体制』で多くの人名を挙げたが、そのうちの誰か一人か二人を取り上げてみようと思った。

たまたま2014年佐々淳行氏(初代内閣安全保障室長)にお目にかかり、お持ちの記録・文書を国会図書館憲政資料室に寄贈して下さるようにお願いしたところ、快諾を得た。身体が不自由な氏に代わって、実際に史料を探し出して下さったのは奥様。色々話している内に、佐々淳行氏のオーラルヒストリーをすることに意見が一致した。

そうこうしている内に、父親の佐々弘雄(九州帝大教授、朝日新聞論説主幹を経て、熊本日日新聞社長)の関係文書が見つかったとの連絡があり、これも憲政資料室にご寄贈頂いた。

弘雄は後述のように尾崎秀実と深い関係があり、ゾルゲ事件の際等でかなりの史料を廃棄したと言われていたので、あまり期待はできないが、それでも憲政資料室で整理・公開した段階で詳しく検討してみようと思っている。

かつて昭和研究会研究の過程で、佐々淳行氏の長兄克明氏(朝日新聞記者を経て作家。憲政資料室に「佐々友房関係文書」を入れて下さった)にお願いして、若干の史料を見せて頂きコピーした。また氏の書いた「父・佐々弘雄と近衛の時代」(『中央公論』文芸特集復刊二号、昭和60年3月)を読んで、質問の手紙を書いたりしていた。

こんな事情があって佐々弘雄について書く気になったのである。『大政翼賛会への道』では、革新派で近衛文麿のブレーントラストと言われた昭和研究会の中心人物の一人として取り上げた。昭和研究会についてはここで詳しく述べる余裕はない。佐々淳行氏のオーラルヒストリーをすることになったので、その準備として氏の『戦時少年佐々淳行』(平成15年、文春文庫)を読み始めたところ、父親弘雄について書いている中で印象的なエピソードがあった。

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