現代新書カフェ
2016年01月01日(金) 鴻上尚史

訪日外国人が思わずうなる「ニッポンの食」〜駅弁・調理パン・ラーメン……その意外な高評価のワケ

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〔photo〕iStock

 

文/鴻上尚史

日本の「駅弁」はクール!

日本人が知っているタイプの「駅弁」は、世界で日本だけです。主要駅で売られている、主要駅に関係するデザインで、主要駅や地域にちなんだ食材で作られた駅弁、という意味です。

海外では、そこまでパッケージ化し、主要駅に特化した食品はありません。駅で、その土地の特産品や軽食を売っていることはありますが、「駅弁」というような統一したイメージではなく、あくまで各地が独自にやっていることです。

つまり、次の主要駅でなにか食べ物が売られているという絶対の保証はないのです。日本だと、この駅で買えなくても、次の主要駅で食べ物である「駅弁」を売っている、という絶対の安心があるのです。

これは、日本という国が南北に長く、四季が明確にあり、各地の気候が細かく違う結果、さまざまな特産品が生まれやすい、ということが理由のひとつだと思います。細長い地形が「ご当地グルメ」を生み、「駅弁」を生んだのです。

NHK BSの人気番組『cool japan』では世界中から、9年間で400人以上の外国人をゲストに呼びました。話を聞けば聞くほど、日本のようにコンパクトな国土で、これだけ気候の温度差のある国は少ないと実感します。

四季があっても、国土が広すぎると、気軽に特産品を楽しむことはできません。アメリカもロシアも、うんと旅すれば、特産品は違いますが、短い距離だとたいした変化がないのです。東京から静岡までの200キロでも、日本はさまざまな特産品があります。けれど、広大な大陸での200キロは、そんなに違いがないのです。

コンパクトな国土でも雨期と乾期だけで四季がなかったり、南北ではなく東西に広がっていると、そんなに気候の違いはありません。

日本は、各地の特産品を生みやすい地形なのです。

弁当箱という日本独自のシステム

「駅弁」が日本人に身近なのは、「弁当」の文化があるからでしょう。

「弁当 bento」は『オックスフォード英語辞典』に載るようになりました。

僕が1年間、ロンドンの演劇学校に留学した時、クラスメイトが昼食に持ってきている食べ物を見て愕然としました。

「ポテトチップスとキットカットとリンゴ」が昼食というようなイギリス人が普通にいました。家から昼食用に持ってきているのですから、まさに、お弁当です。お弁当がポテトチップス一袋だけとか、プレッツェルだけとかも普通でした。リンゴとかバナナとか、果物を一緒に食べているクラスメイトは珍しい方でした。

僕は何回も「ポテトチップスとチョコレートの昼食って、体によくないと思うよ」と言ったのですが、クラスメイトは笑って、真剣に受け止めませんでした。

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