町田徹「ニュースの深層」
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東芝の粉飾を見逃した「新日本監査法人」が存亡の危機

金融庁の厳しい処分がまもなく下る?

2015年12月18日(金) 町田 徹
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【PHOTO】gettyimages

また大手監査法人が消滅するのか

歴史は繰り返すのか――。

9年前、筆者がスクープした日興コーディアル証券の粉飾決算に「適正意見」を付けていたことで息の根がとまったみすず監査法人(旧中央青山監査法人)。在籍していた公認会計士の大半が移籍したのが、新日本監査法人であった。その組織が再び、存亡の危機に瀕している。

新日本監査法人は、巨額の利益水増しで決算訂正に追い込まれた東芝に「適正意見」を付け続けていたにもかかわらず、自ら何らけじめをつけようとしなかった。これに業を煮やした金融庁の「公認会計士・監査審査会」が今週火曜日(12月15日)、公認会計士法に基づく行政処分を行うよう同庁長官に勧告したのだ。

勧告を受けて、金融庁は来週(12月22日)にも、業務改善命令だけでなく、業務停止や課徴金支払いを含む厳しい処分を下す公算が高まっている。その一方で、経済界ではクライアントの「新日本離れ」が取り沙汰されており、またしても日本を大手監査法人が消滅しかねない事態に陥っている。

<リスクの識別、リスク対応手続きの策定等にあたり、職業的懐疑心を十分に保持・発揮しておらず、また、実施した監査手続きから得られた監査証拠の十分性及び適切性について検討する姿勢が不足している>――。

この一文が、今回の公認会計士・監査審査会の勧告がくだした新日本監査法人に対する辛辣な評価だ。

「職業的懐疑心」とは、監査の分野で会計士に最も必要とされている資質である。簡単に言えば、監査のプロとして、企業が作る財務諸表には常に虚偽があると疑ってかかれという意味である。さもないと虚偽の財務諸表が氾濫し、投資家や取引先の判断の道標(みちしるべ)が失われるからである。

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