経済の死角

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深刻な大気汚染で高まる健康不安

2015年12月18日(金) 中島 恵
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深刻な大気汚染。北京では先日、初の「レッド警報」が発令された〔photo〕gettyimages

文/中島恵(ジャーナリスト)

もう我慢できない

視界全体に霞みがかかったようで、数メートル先は何も見えません。なんだか変な臭いもするんです。まだ朝なのに、もう夕方みたいな感じで……。こんな中で生活していたら、誰だって体調不良になりますよ

北京に住む友人、毛燕燕(28歳)さんはPM2.5に汚染された空を見上げながら、ため息交じりにこうつぶやく。北京の名門大学を卒業後、IT企業に勤務しているキャリア女性だ。

移動はできるだけタクシーを使うようにし、なるべく外は歩かないようにしているが、それでも限界があるため、大学時代の友人が多く住むニューヨークに引っ越すことを真剣に検討している。北京の空気があまりにも悪過ぎるからで、とくに12月に入ってからは「もう我慢できない」と、中国版LINEの微信上で嘆いている。

一人娘なので、両親は彼女のアメリカ行きを反対しているというが、それでも「将来、子どもが産めない身体になったらどうするのよ」と彼女がいうと、両親も黙りこんでしまう。

PM2.5が人体にどれだけの害を与えているか、まだ明確なデータは示されていないが、友達も口々に心配しているという。

毛さんは理系だったが、クラスメートの3分の1は現在、アメリカや香港、日本など海外に住んでいる。大学を卒業後、大学院進学のために海外に出て、そのまま戻らない人が多い。キャリアアップのためもあるが、半分は、中国の生活環境を心配していることは明らかだ。

大気汚染が原因で引っ越す

毎年冬になると、日本でも大きく報道されるPM2.5(微小粒子状物質)。中国語では「霧霾」(ウーマイ)と呼ばれる。「霧霾」は冬以外でも、ときによっては深刻化することがある。

私も北京を訪れた際、何度か数値の高い日にぶつかったことがあり、朝ホテルから出るのがつらかった。ふだんはマスクを嫌がる中国人も、そんな日はさすがにしっかりマスクをしているが、医療用マスクでも「効果があるのか?」と不安になる。

北京のみならず、中国東北部や内陸部の工業都市でも公害は深刻だ。あまり物事に頓着しない中国人でさえ、最近の空気の悪化には“危機感”を感じている。

日本でも水俣病やイタイイタイ病のような病気があったが、その時点で身体に問題がなくても、数年後にどんなことが起こるのかわからないからだ。

そんな中、引っ越しを決意し、実行に移す人が増えている。

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