長谷川幸洋「ニュースの深層」
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財務省はなぜここまで落ちぶれてしまったのか!〜政策立案・根回しに失敗、議論も説得力がない

軽減税率をめぐって「大迷走」

2015年12月18日(金) 長谷川 幸洋
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【PHOTO】gettyimages

これほど無様な姿をさらすとは

消費税の増税に伴う軽減税率問題が決着した。最大のポイントは税率の中身もさることながら、政治的に首相官邸が党内の増税派と財務省に圧勝した点だ。これで安倍晋三首相は2017年4月に10%に引き上げるかどうか、完全にフリーハンドを握った形になる。

約3ヵ月にわたった攻防で、財務省は終始一貫して読み違いをした。

間違いの始まりは、唐突にぶちあげた増税分の一部を後で家計に戻す「還付金案」だった。これは理屈の上では低所得者対策として正しかったが、まだ始まってもいないマイナンバー制度を活用する問題点や根回し不足もあって、あっという間に消えてしまった。

財務省はその後も迷走を続けた。4000億円の財源枠にこだわるあまり、与党である公明党の政治的重さを測りかねて首相官邸の怒りを買ってしまう。最後は適用食品の線引きの難しさから財源を一挙に1兆3000億円まで拡大したものの、自分たち自身の大臣である麻生太郎財務相や公明党の反対に遭って、これまた蹴飛ばされてしまった。

霞が関を仕切る財務省がこれほど無様な姿をさらしたのは、ほとんど記憶がない。あえて言えば、1994年の細川護熙政権で当時の大蔵省が小沢一郎新生党代表幹事(当時)と組んで導入を目論んだ「国民福祉税構想」の失敗に匹敵するのではないか。

情報収集力と要路(政府や与党幹部)に対する根回しの周到さにかけては霞が関、いや日本随一の財務省も「ここまで落ちぶれたか」と感慨深いものがある。

財務省がこの体たらくだから、自民党税制調査会の権威が地に落ちたのも無理はない。自民党税調は財務官僚が陰に陽に知恵袋、かつ手足となって動いていたからこそ、表舞台で権勢を誇ることができた。

ところが「裏舞台の司令塔」である財務省が肝心の政策立案で失敗した挙げ句、政治的パワーバランスを読み切れず、議論に説得力もないとなったら、党税調が力を失うのは当然である。どうして、こうまで失敗したか。遠因は昨年秋の増税先送り・解散総選挙にある。

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