川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」

「正義」を振りかざすEUの身勝手
〜搾取の歴史を直視しなければ、テロも難民も永遠に解決しない

利己主義的な本質があらわに

2015年12月18日(金) 川口 マーン 惠美
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12月2日、ロンドンの議事堂前では空爆反対派が模擬死抗議運動をくりひろげた 〔PHOTO〕gettyimages

イギリスの11時間、ドイツの4時間

12月4日、ARD(ドイツ公共放送連盟)のベルリン支局の記者アーント・ヘンツェ氏の興味深い論評が、同社のオンラインニュースに載った。

12月の第一週、イギリスとドイツの議会がほぼ同時期にシリア参戦を協議、そして承認したのだが、2日、イギリス下院では11時間をかけて、空爆をするかどうかについて侃々諤々の議論が交わされた。

キャメロン内閣が速やかな決断の必要を強調したにもかかわらず、議員たちはそれに乗らず、執拗な質問責めで、参戦の意義、目的、危険度についての討議に持ち込んだ。100人以上の議員が発言し、キャメロン首相もそれに存分に応じ、最終的な票決では、なんと67人もの労働党議員が賛成組に転じた。彼らは、11時間の討論の間に、キャメロン首相の主張に納得したのである。

それと正反対なのが、ドイツの連邦議会だった。やはり4日と6日にシリア参戦が討議されたが、両日合わせても4時間足らず。「この軍事行動は国際法上問題がないのか」という議員の質問に対しても、外務大臣が「ここは学術セミナーではない」と一蹴したという。結局、ここで行われたのは、ただの"アリバイ議論"にすぎなかったとヘンツェ氏はいう。

ドイツ連邦軍の目的は、もちろんISの打倒である。トーネードという偵察機を飛ばすことになっている。ただ、シリアにおける問題は、ISが敵だということはわかっても、味方が誰だかがよくわからないことだ。

その話は先々週も書いたが、アサド大統領に対峙する反アサド勢力の中にも、「良い反アサド勢力」と「悪い反アサド勢力」がいるし、クルド族にも「良いクルド族」と「悪いクルド族」がいるし、それどころか、「良いアサド大統領」と「悪いアサド大統領」がいる。要するに、「良い」と「悪い」は味方の間でも一致しない。普通、こんなものを軍事同盟とは言わない。

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