日本一の書評
2015年12月20日(日)

練習法を変えれば陸上の世界記録は日本選手のもの!? 
駅伝を通じて学ぶ、日本のいいトコ悪いトコ

リレー読書日記・生島淳

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マラソン、駅伝シーズンが本格化してきたが、無類に面白い本に出会った。『駅伝マン』だ。

アダーナン・フィン著 濱野大道訳 1700円

著者のアダーナン・フィンはイギリスのジャーナリストで、過去にケニアに半年住み、トップランナーと一緒にトレーニングした経験を本にまとめている(未訳だが、『駅伝マン』が売れれば翻訳されるだろう)。

著者は市民ランナー。駅伝大国・日本で練習を積めば能力をさらに発揮できるのではないかと思い立ち、家族とともに列車でロンドンからシベリア鉄道を伝って、京都までやってくる(これだけでも十分にオカシイ)。

幸運にも恵まれ、立命館大の陸上部の練習に参加したり、千日回峰行、ついには日清食品グループの取材にも成功する。そこで得た結論は我々にとっては耳が痛い。「日本でなにより学んだのはやってはいけないこと」だったからだ。

舗装道路はなるべく走らない。タイムに固執しない。

逆のことがすべて日本人のランナーに当てはまる。フィンは日本で走るケニア人ランナーから、こんな言葉を引き出している。

「日本では陸上競技が愛されている。ケニア以上に。でも、練習方法がイマイチなんです。もしケニアと同じ練習をすれば、世界記録はすべて日本人選手のものですよ」

マジか。今年は男子の5000m、1万mで日本記録が誕生し、長距離界は久々に活況を呈しているが、改めてマラソン、駅伝を取り巻く環境について考えるきっかけを与えてくれる。

それにしても、フィンさん、箱根駅伝関係の著作を持つ私のところにも取材に来て欲しかったぜ。

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