安田菜津紀「ファインダー越しの世界」

若者の自殺者年間6500人
〜友人に深刻な悩みを相談されたらどうする?

「助けて」と言えない命を支えるために

2015年12月15日(火) 安田 菜津紀
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撮影:安田菜津紀

12月の夕暮れ、頬を掠めていく風が冬の気配を強めている。かじかむ手をポケットにしまい、踏切が開くのを今か今かと待っていたときのことだった。けたたましく鳴り響くその踏切のすぐそばの、小さな看板が目に留まった。

「心の痛み 話せる電話です」

自殺予防のための「いのちの電話」の番号が書かれた看板だった。一瞬どきりとして、頭が真っ白になった。そしてこれまで、自ら命を絶っていった友人たち、知人たちの顔が頭を過った。

彼らのことを、ここでも、そして人前でも、公の場で語ることはできずにいる。なぜなら家族や身近な人たちが、それを望まないことが多いからだ。それは尊重されるべき感情であることに変わりはない。

けれどもこの悔しさを繰り返さないために、大切な人にどんな風に寄り添ったらいいのか、それを誰に尋ねればいいのだろう。そして整理さえできないままのこの感情の波を、誰に打ち明ければいいのだろう。

「助けて」と言えない人の身近な人を支える

今20代の最も多い死因が自殺だということをご存じだろうか。若年者(30代以下)で亡くなる人のおよそ半数近くの死因は自殺で、その数は年間6500名となる。

そんな若者の自殺問題に取り組んでいるのが、NPO法人LightRing(ライトリング)だ。このNPOの取り組みの特徴は、悩みを抱えている本人ではなく、その身近な人、友人や恋人、家族たちが、立場を超えて集う場を築いていることだ。

全国にある「いのちの電話」など、悩みを抱えている人々の窓口は複数存在している。そんな中でなぜ、本人ではなく、身近な人を支える仕組みを築いているのだろうか。

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