長谷川幸洋「ニュースの深層」
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世界各地で極右が躍進! いまこそ日本は「現実」を見据え、冷徹に「実利」を考えなければならない

2015年12月11日(金) 長谷川 幸洋
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イスラム教徒の入国拒否を唱えたドナルド・トランプ氏【PHOTO】gettyimages

欧州に再び、国境の壁がそびえたつ

フランス地方選で極右政党の国民戦線(FN)が大躍進した。かと思えば、米国の大統領選では、共和党候補のトップを走っている不動産王、ドナルド・トランプ氏が「イスラム教徒の入国拒否」を唱えた。「テロと戦争の時代」を象徴するような欧米の政治潮流である。

国民戦線は12月6日に実施された地方選で28%の得票率を獲得した。オランド大統領が率いる社会党の23%、サルコジ元大統領が率いる共和党を軸とする右派の27%を引き離して、堂々のトップである。

1972年に結成された国民戦線はそれなりに歴史があるが、つい数年前までは弱小政党の1つにすぎなかった。それが現党首であるマリーヌ・ルペン氏が率いるようになった2011年あたりから勢力を伸ばし、14年の欧州議会議員選挙で大躍進した。今回は既成政党に肩を並べるどころか、与野党を凌駕してしまった。

この調子だと、17年に予定される大統領選でも国民戦線が勝利して、ルペン党首が大統領になるのも夢物語ではないかもしれない。背景にあるのは、もちろん11月13日のパリ同時多発テロだ。

オランド大統領はテロ発生後、直ちに非常事態宣言を発令して令状なしの家宅捜索に踏み切り、テロ第2波の封じ込めに成功したのはご承知の通りだ。それでも国民の不安は収まらず、今回の地方選では難民受け入れの即時停止や検問強化を訴えた国民戦線が大勝利を収めた。

国民戦線の躍進が無視できないのは、話がフランスだけにとどまらないからだ。

人の自由移動こそが欧州統合の出発点であり、フランスはドイツと並んで欧州連合(EU)の牽引役だった。国民戦線の勢いが止まらず、フランスが国境の壁を高くして難民を拒否するようだと、統合の理念と真正面から衝突する。

後からEUに加わった東欧ならいざ知らず、EU発足の起草メンバーであるフランスが難民に国境を閉じるのは、欧州統合にブレーキをかけるのに等しい。欧州に再び、国境の壁が高くそびえ立つのだろうか。

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