読書人の雑誌『本』より
2015年12月12日(土) のぶみ

たった5分で泣く子続出の絵本『ママがおばけになっちゃった』
〜母の死を通じて「心」を伝えたい

作者・のぶみさんに聞く

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全国の母親のあいだで涙なしには読めないと話題になっている絵本『ママがおばけになっちゃった!』。絵本において「死」を、それも「母親の死」を扱うというタブーに切り込んだ同作。作品に込められた気持ちや、家族のこと、絵本作家としてのこれまでの歩みや夢を、作者ののぶみさんに聞きました。

* * *

絵本だからできたこと

この絵本を描こうと思ったキッカケは、僕の奥さんが「この子、私がいなくても生きていけるのかしら?」ってつぶやいたことなんです。

僕にはかんたろう(10歳)という息子と、アンちゃん(7歳)という娘がいるのですが、母親にとって、自分の子ども、とくに男の子というのは本当に心配で心配で仕方がないみたいです。僕もそうですが、男の子って向こう見ずで、バカなことばっかりするから。

母親が死んでしまうという設定は、絵本では珍しいし、究極の設定だと思います。どうしてもマイルドにはならないんです。子どもにとって「人が死んでしまう」というのは、どういうふうに見えるんだろう、と考えたら「おばけ」というキーワードが浮かびました。

「母親が交通事故で死にました」とストレートにいうのも、すごくキツい。アニメでいうといきなり最終回というようなはじまり方です。それで「くるまにぶつかる」としました。ぶつかる、ということはどんなことかは、子どもでも理解できるので。ぶつかる、とおばけ、を組み合わせたら話は通じるなと思った。ただ、くだけすぎてもいけないから、ギリギリのところで表現するしかないんです。

子どもはそもそも「ママが死んでしまう」なんてお話は読みたくないから、前半部分は母親とのふだんのやり取りやギャグを入れて、子どもが「笑う」要素をすごく大事にしました。もちろんそれでも、子どもには強烈なパンチのような威力がありますが。

この絵本は読み聞かせるのに、だいたい5分かかります。その5分で、笑って、泣いてしまう。この両極端の感情を得られるものって、ほかにないと思います。絵本だからこそできたことです。

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