伊藤博敏「ニュースの深層」
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山口組分裂「静かなる抗争」の全内幕
~分裂から3カ月。最高幹部らが重い口を開き始めた

2015年12月03日(木) 伊藤 博敏
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【PHOTO】gettyimages

最高幹部のインタビューが掲載

日本最大の暴力団「山口組」が、六代目山口組と神戸山口組に分裂し、週刊誌等に数多くの情報が掲載されるなか、騒動を追った初めての本格的な書籍が出版された。

『山口組分裂騒動の全内幕』(宝島社)がそれだ。同じ宝島社から2年前に『鎮魂』を上梓、今回の事態を想定したように山口組の混乱を描いていた元直参(直系組長)の盛力健児氏が執筆陣に名を連ねる共著で、私も参加して2章分を受け持った。

描かれているのは、分裂の原因であり、抗争には至らずとも神経戦、情報戦、恣意活動が続く紛争の内幕である。本書は、そこに丁寧に切り込んでいる。

第一章では、神戸新聞出身のライターで神戸に在住する西岡研介氏が、“地元”の強みを生かして神戸山口組の複数の最高幹部にインタビューを行っている。

第二章と第三章は、実話雑誌出身で、今、最も暴力団に食い込んでいるライターの鈴木智彦氏が、六代目山口組サイドの肉声と、「暗闘の舞台裏」を伝え、第四章では西岡氏が盛力氏へのインタビューを行い、「大義はどちらにあるか」を語らせている。

第五章は私の担当で、六代目山口組を支配する司六代目の出身母体である弘道会の支配体制を詳述、第六章で西岡氏が、警察の思惑と監視・検挙体制について触れ、第七章でアウトローの世界に詳しい作家の夏原武氏が、他の二大広域暴力団「稲川会」と「住吉会」への影響について論及している。

第八章を受け持つライターの常磐泰人氏は芸能界に強く、芸能界・興行界に今回の分裂騒動が及ぶ影響について詳しく述べ、第九章は私が担当して、山口組100年の歴史を「シノギの変遷」という形で振り返り、最終章で鈴木氏が、「血の抗争の行方」というタイトルで今後を占っている。

神戸山口組は、「親」である司六代目を否定したわけで、それはヤクザの世界では、あってはならない「逆縁」「逆盃」である。

そうした批判に対して、神戸山口組の最高幹部が初めて「本音」を語り、情報戦では劣勢を伝えられる六代目山口組の反論をフォロー、分裂の原因となったシビアな統治システムの「弘道会方式」を解説している。

さらに警察の動き、他組織の動きに触れたうえで、100年の歴史をもつ山口組の今後を占う構成は、過不足なく内幕を伝えており、この問題に関心を持つ読者には再考の機会を与え、初めての読者には道案内役となっている。

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