高橋洋一「ニュースの深層」
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民主党と安倍政権、「労働者の味方」は安倍政権のほうだった!~雇用と最低賃金を比べてみれば一目瞭然

2015年11月30日(月) 高橋 洋一
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【PHOTO】gettyimages(いずれも)

実に面白い論争!

安倍首相が、最低賃金の全国平均を1000円とする目標を表明したことについて、民主党の枝野幹事長は「民主党政権で定めた目標そのものだ。民主党の経済運営は正しかったと明言してもらいたい」と批判した。

これは実に面白い論争だ。今日のコラムは、これを題材にして、最低賃金に関する経済学の見解などを紹介しながら、安倍政権の政策と民主党の政策のどちらが良かったのかを改めて考えたい。

最低賃金については、経済学者の見解ははっきり二つに分かれる。ただし、その前に、この問題はいつも議論が混乱するので、「べき論」と「である論」の違いを説明しておく。

一般的に、データを吟味すれば主張の正しさを論証できる「である」論(実証論)と価値観を前提として平行線になる「べきだ」論がある。

もともと伝統的な経済学では、最低賃金制を設けてしまうと、それより低い額でも労働しようとする雇用を減らしてしまい、経済のためにならないといわれていた。しかし、この考え方は労働市場を「完全競争市場」とみているという点で致命的な誤りがある。

一方、最低賃金を設ければ、労働者のインセンティブが高くなるため、弊害は少ないという考え方もある。いずれにしても、ちょっと前までの実証研究の結果では、どちらが正しいのかはっきりしなかった。これがミクロ的な経済学の限界だった。

こうした状況では、確実な実証をもとめられる「である論」はあまり迫力がないので、実際の政策論争では、「べきだ」論が幅をきかせる。その結果、議論している経済学者の間の価値観の違いは埋めがたくなり、いくら論争してもなかなか答えが出てこなくなる。

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