経済の死角

全米で訴訟ラッシュ!
「殺人エアバッグ」タカタはこれでも潰れないか

蜜月だったホンダからも絶縁宣言

2015年12月02日(水) 週刊現代
週刊現代
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事故が問題となっても公の場に現れず、今年6月に初めて会見に臨んだ高田社長〔PHOTO〕gettyimages

〈殺人犯はタカタだった〉—。昨年10月、衝撃的な見出しが米ニューヨーク・タイムズ紙の1面を飾ってから約1年。タカタのエアバッグ問題は底なしの様相を呈している。地獄はまだこれからだ。

すでに8人の死者が出た

「タカタの置かれた状況は極めてカタストロフィック(破滅的)です。タカタ製のエアバッグは、すでに全米で3200万台がリコールの対象となっています。

しかし、これはまだ中盤にすぎません。今後、問題になっているエアバッグと同じ技術が使われたものは、すべてがリコールの対象となるでしょう」

こう話すのは26年にわたって自動車の安全部品に関わってきた「バリエント・マーケット・リサーチ」のCEO、スコット・アップハム氏だ。なお同氏は、'94年から'96年にかけてタカタに勤務した経験も持つ。

本来、人命を守るはずのエアバッグが爆発して金属片が飛び散り、身体を傷つけ、時として命まで奪う——。

タカタ製の「殺人エアバッグ」はすでに全世界で死者8名(米国で7名、マレーシアで1名)、負傷者130名以上を出し、事態は沈静化するどころか、悪化の一途を辿っている。

「タカタ製エアバッグを搭載した自動車のリコール対象は全世界で6000万台とも言われ、改修費用を1台あたり1万円と安く見積もっても、リコールに6000億円がかかることになる。

このうちタカタがいくら払うかは、今後、自動車メーカーとの交渉次第ですが、タカタの非が全面的に認められてしまえば、数千億円規模の支払いを課せられる可能性があります。タカタは現在、リコール費用として合計827億円の特別損失を計上していますが、これではまったく足りません」(経済誌自動車担当記者)

それに追い打ちをかけるように、タカタが頭を悩ませるのは被害者への賠償問題だ。前出のアップハム氏が続ける。

「被害者は集団訴訟を起こしていますが、そのこともタカタには大きな打撃です。昨年発覚した米ゼネラル・モーターズ(GM)の点火スイッチの不具合で、同社は被害家族に支払う9億ドル(約1100億円)を含め、総額で約15億ドル(1830億円)もの和解コストを計上しました。

トヨタも'09年から'10年にかけての『意図せぬ急加速』問題では、12億ドルを支払うことで訴訟を回避しています。これらのケースと同様にタカタは10億ドル(1220億円)規模の支払いを請求される可能性があります」

リコール費用に被害賠償額を加えると、最大5000億円の巨額請求を起こされることも考えられる。1500億円程度のタカタの純資産が軽く吹き飛ぶ金額だ。

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