森山誉恵「いつか親になるために」

年収300万円世帯と1000万円世帯では、子どもの学力がはるかに違う~広がる「教育格差」。施設支援から厳しい現実が見えた

2015年11月19日(木) 森山 誉恵
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提供:3keys

子どもたちの教育格差を生む「4重の壁」

私が代表理事を務める3keysは、虐待や貧困などの困難を抱える家庭に育ち、かつ必要な社会資源が十分に届かない状況にある子どもたちをサポートする非営利団体です。

児童養護施設で学習ボランティアをする大学生の有志団体として立ち上がり、2011年に法人化しました。親や行政だけに子育ての負担を強いるのではなく、民間の立場で、子どもたちの社会保障の充実を目指しています。

子どもたちの自立をサポートするための活動の中の一つが「学習支援事業」です。学習支援事業では、これまで主に保護者のいない児童や被虐待児などを対象にしてきました。このように、家庭での養育が難しい児童に対して、公的な責任として養護を行うことを「社会的養護」と言います。つまり、家庭に代わって、社会保障費(我々の税金等)で子どもたちを育てることを指します。

その中でも、里親など家庭に近い環境で暮らす子どもたちではなく、児童養護施設をはじめとした、児童福祉施設で暮らす子どもたちを対象に、勉強を教える家庭教師(チューター)を派遣し、子どもたちの勉強をサポートしています。

社会的養護の下で暮らす子どもたちは現在、全国に5万人近くいます。社会的養護については、より詳しく書いた記事があるのでこちらをご覧ください。(50,000人の子どもたちが親元で暮らしていない今。子どもたちが暮らす8つの形態、全て言えますか?虐待・育児放棄・貧困……この国には施設で暮らす子どもが4万人もいる!あなたの身近にも必ずある施設の実態とは?

学習支援事業では、一般的な家庭教師の派遣と同じように、チューターの研修や選抜、フォローを担うことで、子どもたちの現状や要望に合ったチューターを施設に派遣しています。チューターの満足度を上げることも含め、子どもたちが学習を続けやすい仕組みづくりに努めています。

一般的な家庭教師派遣会社との違いは、チューターはボランティアであること。さらに、チューターの管理やサポート等の運営費は家庭からもうらのではなく、個人や法人の寄付・協賛によって賄われています。家庭の「経済格差」が子どもの「教育格差」につながらないようにするためです。

児童養護施設等で暮らす子どもたちは、学習に苦手意識を持ち、結果理解が遅れてしまうケースが少なくありません。そこには子どもの能力や意思の前にある、「構造上の問題」が潜んでいます。

私たちはそれを「4重の壁」と呼んでいます。子どもたちがぶつかっている「4重の壁」を見ていくことで、社会保障、公教育、児童福祉、医療など、あらゆる側面から、子どもたちが置かれている厳しい現状を実感できるはずです。

子どもたちが学習でぶつかる「4重の壁」

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