
日本経済は本当にリセッションに入ったのか
11月16日に発表された2015年7-9月期の実質GDP成長率(一次速報)は、季調済前期比年率換算で-0.8%と、2四半期連続のマイナス成長となった。景気循環での定義を単純に当てはめると、日本経済はリセッション(景気後退局面)に入ったことになる。
もう少し細かく内訳をみてみると以下のようになる。
2014年4月の消費税率引き上げ後に急減し、多くのエコノミストが懸念していた「実質家計最終消費」は、季調済前期比で+0.5%(年率換算では+2.1%)と予想外に堅調であった。
また、円安の進行にもかかわらず、回復がみられず、景気の足を引っ張っているとみなされてきた「実質輸出」も、季調済前期比+2.6%(年率換算では+10.9%)、実質輸入を差し引いた「純輸出」は+0.1%(年率換算では+0.4%)と、プラス寄与となり、悪い数字ではなかった。
一方、主に成長率を押し下げたのは、「民間在庫品増減」(前期比の寄与度は-0.5%、年率換算では-2.1%)と「民間設備投資」(季調済前期比-1.3%、年率換算-5.0%)であった。
2014年4月の消費税率引き上げ後、日本経済が停滞している大きな理由は、家計消費の落ち込みであるとされてきた。その落ち込みを埋め合わせるために、低所得者向けの給付金等の「所得再分配政策」が必要であるというのが、コンセンサスになりつつある。だが、今回のGDP統計の結果は、必ずしもその見方に沿った内容ではなかった。
このように、家計消費の悪化がみられなかった(むしろ、わずかながら回復している)ことから、「日本経済がリセッションに入っている」という見方は悲観的過ぎると思われる。ただ、だからといって、日本経済について楽観的な見方をしてよいということではない。問題はもっと根深いのではないか。
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