長谷川幸洋「ニュースの深層」
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相次ぐ不祥事、日本企業はいつから「真面目で誠実」をヤメたのか〜この社会が変質した本当の理由

2015年11月13日(金) 長谷川 幸洋
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【PHOTO】gettyimages

真面目で誠実な日本人はどこに行ったのか

企業の信頼性を疑う事件が相次いでいる。日本企業は消費者を裏切ることはしない、と漠然と信じられてきた。それは根拠のない神話だったのだろうか。こういうときこそ、信頼性が企業にも職業人にとっても成功への近道と自覚すべきだ。

まず「傾いたマンション問題」である。これは旭化成建材による杭打ち作業が適正に行われていなかったことが原因だった。高額な住宅ローンを組んでマンションを買った住人は「杭打ちが適正かどうか」など購入前に事実上、調べようもない。

「建て替えます」と言われても、ローンは残る。失われていく膨大な時間とエネルギー、ストレスの大きさを考えれば、建て替え+引越し代+数年間分の家賃+一律300万円の慰謝料で納得感があるかどうか。「三井ブランド」を信頼して買ったのに、裏切られた思いはいかばかりか、と同情する。

東芝の事件もあった。マスコミは当初、不適切会計と報じてきたが、7月24日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/44325)で指摘したように、これはまぎれもなく巨額粉飾決算事件だ。

東芝は11月7日になって旧経営陣の役員5人に対して総額3億円の損害賠償訴訟を起こした。だが、判明した分だけで水増し額が1500億円超、関係した役員が少なくとも10人に上ることを考えれば、いかにも少額である。世論を意識したアリバイ作りであるのは見え見えだ。

粉飾決算で裏切られたのはだれか。株主と取引先、取引銀行、消費者、さらに不正に関係ない一般社員たちもだ。東芝にかかわるステークホルダー(利害関係者)すべてが裏切られた。とても3億円の代償で済むような話ではない。

JA全農(全国農業協同組合連合会)が販売した有機肥料の成分が偽装されていた問題もある。こちらも裏切られたのは、農家だけではない。偽装肥料で作られた農作物を有機栽培と思わされて買った消費者も被害者だ。少し前には、免震装置の性能を偽装していた東洋ゴムの事件もあった。

ざっと挙げただけでも、こんなに日本企業の不祥事が相次いでいる。フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正事件も衝撃的だったが、日本はとてもVWを非難していられない。日本企業にもデタラメは蔓延していたのだ。

日本人といえば「真面目で誠実、親切」が世界の通り相場である。そんな日本人が働く日本企業は、だから消費者や取引先を故意に騙すような真似はしないと思われていた。私もそう思っていた。

だが、こう不祥事が続くと、もはや過去の話と認めざるをえなくなる。

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