山崎元「ニュースの深層」
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お金の運用で損をする人の、5つの「共通点」を教えよう
~安心してください。解決策もあります。

2015年11月06日(金) 山崎 元
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【PHOTO】iStock

「普通の人」が陥るワナ

趣味で熱心に株式投資をしているような投資家、あるいは海外の一攫千金の儲け話に乗りたがるよう「山っ気」のある人(しばしば大失敗しますが)、ではない「普通の人」がお金の運用で失敗する共通のパターンが幾つかある。

今回は、お金を運用するにあたって、多くの人が勘違いして損をする要注意点を5つご紹介し、最後に、これらがもたらす損に陥らずに済む、いわば「解決策」を伝授したい。

典型的な勘違いとは、以下の5つだ。

<勘違いその1>銀行員は損をさせない。
<勘違いその2>資金の目的別・投資家のタイプ別に適した商品がある。
<勘違いその3>
高齢者は利息や分配金受け取りを中心に運用すべきだ。
<勘違いその4>
「運用が上手い投資信託」を選ぶことが出来る。
<勘違いその5>
プロに任せるラップ口座は安心だ。

上記の何れかについて「そうではないのか?」と思うあなた、また、もう少しハードルを上げて、それぞれがどうしてダメなのかの理由をスッキリ説明出来ないあなたは、運用で失敗する可能性が大いにある。ひとつひとつ解説していこう。

<勘違いその1>銀行員は損をさせない

端的に言って、現在お金を持っているのは、60代以上の高年齢層だ。この世代は、若い時分に数%の金利で預金をしてお金を増やした経験を持っている。

また、行政は長らく銀行を他の金融業態よりも保護してきた。そのため、預金あるいは金融債で損をする例が長年なかった。だから「銀行は(あるいは、銀行員は)損をさせない」との印象を抱いている人が少なくないのだ。

しかし、1998年に施行された日本版金融ビッグバン以降、銀行の窓口で投資信託や保険を売るようになり、その後徐々に銀行員の営業姿勢は積極化した。今や、銀行員と証券マンの違いは、直接株式を勧めるか否か程度しかないのが現実だ。

例えば、11月13日号の『週刊朝日』には、「認知症患者を食い物にする『ハイエナ』金融機関」(32ページ以下)という記事が載っているが、この記事の冒頭で紹介されている80代女性のケースでは、2008年にこの女性が認知症と診断されてから2012年の暮れまでに合計40回も金融商品を購入させられていた。

後見人がついて、この状況を発見した時、運用額の半分以上が損失となっており、彼女はほぼ1億円を失ったという。この間に、銀行が得ていた手数料は1500万円以上に及んだ。

このケースが金融商品取引法に引っ掛かるかどうか、女性の損失を取り戻すことが可能かどうかは微妙だが(たぶん裁判は勝てないだろう)、今の時代、「銀行員なら安心」という訳ではないことを、知っておく必要がある。

認知症ないし判断力が衰えた高齢者の行政的な保護は不十分なので、今のところ、認知症的な状況になった場合、「後見人」をつける以外に有効な手はないようだ。

記事は、この銀行員は「きついノルマ」があったのではないかと推測しているが、当たらずといえども遠からずだろう。今や、銀行員の営業目標は、証券マンのそれと大差ない。

しかし、「銀行」に対して漠然とした信頼感を抱き、「証券」に対するような警戒心(もちろん、証券マンを警戒するのは悪い事ではない)を持っていない人が多く、この印象と実態のギャップが大変危険だ。

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