経済の死角

ふざけるな、マイナンバー!動くカネは4兆円以上、「完全なる徴税」のためだと?

役人がつくった、役人だけがトクをする制度

2015年10月30日(金) 週刊現代
週刊現代
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「なぜ導入するのか。それを明確に説明できないのは、役人のための制度だからですよ」。ある内閣府の職員は、そう笑った。利権はびこるマイナンバー。発覚した贈収賄事件は氷山の一角に過ぎない。

ヤクザのような見た目

「やっぱり」。事件の報に接した際、ほとんどの人はそう思っただろう。

10月中旬から「通知カード」の交付が始まったマイナンバー制度の導入に絡み、厚生労働省職員が関わる贈収賄事件が発覚したのである。

マイナンバーに詳しい、白鷗大学法学部教授の石村耕治氏が言う。

「今回の事件の背景にあるのは、制度導入にともなう『利権』に他なりません。導入が決まった'11年からずっと、莫大な予算を狙って、シロアリのようにIT企業やシステム会社が群がり続けている。そしてその金主である役人が、彼らから利益を享受しつつ、自分たちの都合の良いように制度を進めているのです」

各省庁が天下り法人や専門部署を乱立させている〔PHOTO〕wikipediaより

収賄容疑で逮捕されたのは、厚労省情報政策担当参事官室室長補佐の中安一幸容疑者(45歳)だ。

'11年、医療分野などにおける情報共有システムの設計案を公募した際に、都内のシステム会社から賄賂を受け取り、受注できるように取り計らったとされている。

逮捕容疑はこのシステム会社の社長から100万円を受け取ったというものだが、実際の賄賂額はさらに膨らむものと見られている。

「中安さんは、厚労省内では有名人でした。いつもブランド物のスーツで身を固め、冬は地面に着きそうなほど長いコートを着てのし歩いていた。ヤクザ映画のキャラクターのようなルックスで、見た目通りに押しが強く、弁も立った。『医者や医療関係者にパイプがある』と、よく吹聴していました」(中安容疑者をよく知る厚労省職員)

中安容疑者は、埼玉県さいたま市内の自宅で妻、幼い娘と暮らしていた。出勤のため大宮駅に向かう際にはタクシーを呼びつけていたといい、近所の住民の目からは、かなり羽振りが良さそうに見えたという。

「高校卒業後に国家公務員Ⅲ種に合格し、兵庫中央病院の事務官として採用された容疑者は、いわゆるノンキャリ。当時は病院の受付や物品購入といった仕事をしていたそうですが、そこから頭角を現し、'05年に本省へ。そして'07年には、社会保障担当参事官室に配属になりました。

『ITの知識がずば抜けている』という評判でしたが、病院事務として働いていた時の実体験を、持ち前の強引さで押し付けるのが中安容疑者のスタイル。現場の知識が何もないキャリア組の職員は、彼をコントロールできず、野放しになっていたのです」(全国紙社会部記者)

しかし、マイナンバー制度がいよいよ始まるというこのタイミングで、現役の職員が逮捕されるというのは、間が悪いどころの話ではない。

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