現代新書カフェ
2015年10月02日(金) 長岡 美代

あまりにも短絡的……
安倍政権の見当違いな介護政策がまねく「絶望的な未来」

いま介護現場で何が起きているか

upperline
*写真はイメージです〔photo〕gettyimages

いかにして儲けるか――。いま、介護業界にはそんな悪質な業者が数多くうごめいている。だが、そうした状況を把握しないまま、安倍首相は先日、特別養護老人ホーム(特養)の増設を掲げた。

介護・医療ジャーナリストの長岡美代氏によれば、万が一、そんな短絡的な介護政策を実行したら、人材不足に拍車がかかり、介護保険財政を破綻させかねないという。支持率低下のはて、苦肉の策として無理矢理ひねり出した目標は、机上の空論に過ぎない。


高齢者を「儲けの道具」としか考えていない

――介護サービスをめぐるトラブルが連日のように報じられていますが、その背景では今、何が起きているのでしょうか。

長岡 成長が続く介護ビジネスには、異業種からの参入が絶えません。先ごろも流通大手のイオンがデイサービス事業に本格参入することを表明したばかりです。

すでに介護保険だけでも10兆円の巨大市場になっており、団塊世代が75歳以上となる2025年には21兆円にまで膨らむ、という推計さえあります。高齢化の進展で右肩上がりの成長が見込める分野ですから、これからも新規参入は続いていくでしょう。

民間ならではの発想や工夫が業界に新たな風を吹き込む一方で、高齢者を「儲けの道具」としか考えていない不届きな事業者も目立つようになっています。

不正請求、もしくは不正まがいの行為で高齢者が余計な費用を支払わされていたり、受けられるはずのサービスが届いていなかったりするケースが少なくありません。国が押し進める在宅医療でも同様のことが起こっています。

たび重なる制度改正で介護保険や医療保険が複雑になっており、利用する側にある程度の知識がないと事業者や医療機関の都合がいいように誘導されてしまいがちです。

特に老人ホームは類型がいろいろで、介護サービスや在宅医療の提供方法にも違いがあるため注意すべきポイントは多い。見た目だけではわかりにくくなっており、トラブルも増えています。

1
nextpage



underline
アクセスランキング
1時間
24時間
編集部お薦め記事
最新記事