安田菜津紀「ファインダー越しの世界」

世界は「日本国憲法」をどう見ているか

知っておきたい「歴史の潮流」と「9条の価値」

2015年09月17日(木) 安田 菜津紀
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「憲法守れ! 憲法守れ!」――そんな言葉が世代を超え、ときには国会前で、そしてときには駅前の広場で飛び交う。各界から違憲を指摘する声が上がる中、その"解釈"は揺れ動き続けている。そして、安保法制案が成立しようとしている。

この国に存在する憲法の真価は何だろうか。守り続けることにどんな意義があるのだろうか。

今回はそんな問いに海外の視点から答えた、米国人監督ジャン・ユンカーマンさんが手がけた映画「日本国憲法」を紹介する。憲法制定の経緯や平和憲法の意義について、世界のさまざまな有識者たちが語ったインタビュー集だ。これまで憲法を国内の問題としてとらえがちだった私にとって、世界各国からの視点でとらえた作品は、新鮮な気づきに溢れたものだった。

「映画日本国憲法」 (C)2005 SIGLO

10年前の作品にもかかわらず、込められたメッセージは色あせることなく、むしろ今の時勢に鋭く突き刺さる。安保法制案が成立しようとしている今、改めてユンカーマンさんのメッセージに耳を傾けたい。

日本国憲法の行方は"国際問題"

米国で生まれたユンカーマンさんはなぜ、「日本国憲法」を題材にした映画を作ったのか。

ユンカーマンさんは軍医である父親が横須賀の海軍病院に配属されたことで、幼少期を神奈川県葉山町で過ごした。1年後にアメリカに帰国したが、1969年に日本の高校へ1年間留学をする。当時はベトナム戦争の真っ最中、50万人の米兵がジャングルで戦っていた頃だ。ユンカーマンさんは当時16歳。

「アメリカには徴兵制があり、いつか自分もベトナムで戦わなければならないのか? そんな不安の最中にありました。だからこそ戦争を放棄した日本に来たとき、安らぎを感じたのでしょう」

当時はまだ戦後25年ほど。人々の記憶の中にまだ戦争は生々しく残っていた。あの悲劇を二度と繰り返さない。そんな日本の精神をひしひしと感じながら、「なぜ自分の国はまだ戦争をしているのか?」その疑問をますます強めていくことになる。

ユンカーマンさんが映画「日本国憲法」を作ったのは今からちょうど10年前、戦後60年だった。イラク戦争がはじまり、アメリカの要請に応えて小泉政権が自衛隊をイラクへ派遣した頃。「自衛隊の派遣は違憲ではないか?」そんな声を押し切って、小泉政権は2004年に派遣をはじめた。同時に自民党は、憲法の改正案を発表していた。

「日本の政治の中では、憲法9条は国内問題としてとらえられがちですが、これは明らかに国際問題でもあるのです。どうやって日本が海外問題と向き合っていくのか、その根本に9条がある。だからこそ海外からの視点でこれをとらえる必要があったのです」

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