デジタル・エディターズ・ノート
2015年09月17日(木) 佐藤 慶一

「フィジカルな感覚は楽曲より長く続く」 多角的な体験提供する新鋭バンド「Awesome City Club」インタビュー

新作再現ライブ&撮影OK、バーチャルシングル、クラウドファンディング……

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atagiさん(中央)とPORINさん(右から2番目)にインタビューしました

売れるか売れないかよりもまず、メンバーがこういう曲をやっていたらどう映るのかな、その姿は果たしてイケているのかなとか……メンバーが演奏している楽曲像を意識して作曲しています。そうしてできた新曲は、これまでよりもポップで開けた曲になりました

男女5人組バンド・Awesome City Club(オーサムシティークラブ)のatagiさん(Vo./Gt)は新曲「アウトサイダー」についてこのように語ります。この新曲をCDと7インチシングルでかたちにするにあたり、同バンドではインターネットを通じてプロジェクトに共感した人から支援を集めるクラウドファンディングに挑戦・成功しました。

なぜAwesome City Clubは実験と挑戦を続けるのか――クラウドファンディングなど新しいツールへの好奇心、メジャーデビュー後や新曲で出てきた変化、フェス出演の手応え、新アルバムについて、atagiさんとPORINさん(Vo./Syn)に伺いました。

Awesome City Club(オーサムシティークラブ)
2013年春、それぞれ別のバンドで活動していたatagi、モリシー(Gt/Syn)、マツザカタクミ(Ba/Syn/Rap)、ユキエ(Dr)により結成。2014年4月、サポートメンバーだったPORINが正式加入して現在のメンバーとなる。「架空の街Awesome Cityのサウンドトラック」をテーマに、テン年代のシティ・ポップをRISOKYOからTOKYOに向けて発信する男女混成5人組。早耳の音楽ファン、ブロガーはもちろんの事、「The Guardian」(UK)、「MTV IGGY」(USA)など海外メディアでもピックアップされるなど、WEBを中心に幅広く注目を集めている。2015年、ビクターエンタテインメント内に設立された新レーベル「CONNECTONE(コネクトーン)」の第一弾新人としてデビュー。4月8日にはファーストアルバムをリリース。プロデュースにはCHARAやGOTCHをはじめさまざまなアーティストの楽曲を手がけるmabanuaを迎え大きな話題となった。 http://www.awesomecityclub.com/

クラウドファンディングで新しい音楽の届け方、かかわり方を実現

――先日、クラウドファンディングが無事成功しました。どんな実感がありますか? (参照:「Awesome City Club、クラウドファンディングシングルを作りたい!」)

atagi:まずは達成できてよかったです。そして、意外と早かったなあ、という実感です。「早い」というのは、前準備があまり必要なく、自分たちがやりたいことをプロジェクトの公開と同時進行で実施できたのでスピード感がありました。現在進行形で支援者の増加やSNSでの反応をみながら計画を立てることができたのが、なんとも不思議な感じでした。

――目標金額100万円の達成も早かったですね。

PORIN:プロジェクト期間は1ヵ月以上ありましたけど、3日で達成できたのにはびっくりしました。事前の準備がほとんどなかった分、支援してくださった方へのリターンがこれから楽しみです。

――そもそもクラウドファンディングのどういうところに魅力を感じたんですか?

atagi:使ったことがないツールなので、メジャーデビュー前から純粋におもしろそうだと認識していました。クラウドファンディングを利用することで、アーティストからすれば新しい音楽の届け方、お客さんからすれば新しい音楽のかかわり方を実現できるのではないかと思いました。

今回のプロジェクトの目的は、CDと7インチシングルをリリースすることです。特に7インチシングルは非常にニッチなので、どれくらい需要があってどこに届ければいいのか、という判断がむずかしい。そうであれば、本当に欲しい人の分だけプレスして、"濃いものを濃いかたち"で出すことができればと思い、クラウドファンディングを利用しました。

――クラウドファンディングであれば、店頭やウェブで音源を買うことと違って、リターンによっては体験を買う側面もありますよね。

atagi:まさに体験であり、クラウドファンディング自体がひとつのイベントのようでした。今回のリターンは、CDやトートバックに加えて、それぞれのメンバーがレッスンや飲み、買い物、物販などの体験を用意しています。メンバー全体ではバーベキューやライブ、楽曲のプレゼントをリターンにしました。

ちょうど先日、CAMPFIRE代表の石田さんと対談する機会があったんですが、リターンについて整理がつきました。海外のクラウドファンディングではガジェットやプロダクトなど"モノ"を求めて参加する人が多く、日本では"体験"をほしいがために参加する人が多いそうなんです。

だからその両方が含まれたプロジェクトが達成しやすいのかもしれません。今回のプロジェクトでは、CDやトートバックなどのモノと、メンバーと実際に会ってなにかをする体験と、その2種類のリターンが自然と出てきたので、うまくいった側面はあるのかなと思います。

――今回のクラウドファンディングをはじめ、情報発信ではnoteも利用していて、Awesome City Clubには新しいツールを柔軟に使う好奇心を感じます。

atagi:メンバー全員でそういう好奇心は共有されています。おもしろい手段があれば、それに合うおもしろい目的を見つけていくというか。今回であればクラウドファンディングというおもしろいツールがあり、7インチシングルを出す目的がある。だからプロジェクトを立ち上げるという自然な流れです。

新しいツールを利用することは活動のモチベーションにもなります。結局のところ、ぼくたちが自分たちの意志をもって、すべてのことに携われるか、思いをつくれるか。メンバー全員が今回のプロジェクトをいいと思っているからこそ、お客さんにしっかり届いた部分があると思っています。

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