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「AIバブル」への警鐘---今の人工知能に出来る事と出来ない事の見極めが事業化への鍵となる

2015年08月27日(木) 小林 雅一
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みずほ銀行の店頭に立つ「ペッパー」 〔PHOTO〕gettyimages

急激に盛り上ったAIブーム

昨年から今年にかけて、AI(人工知能)、あるいはそれを搭載した次世代ロボットなどへの一般的関心が急速に高まってきた。自動運転車、ワトソン、ペッパー、ドローン、ディープ・ラーニング・・・主要各紙をはじめメディア報道で、これらAIやロボット関連の記事を目にしない日が珍しいほどだ。

筆者がこのコラムで「AIの復権 Googleの自動走行車とAppleの「Siri」が意味するもの」を書いた2012年当時は、AIに対する日本社会の反応は鈍かった。特に企業関係者の多くは「AI(人工知能)」という言葉は過去に聞いたことがあるにせよ、それが近い将来、産業各界において、次世代ビジネスを構築するためのキー・テクノロジーになると予想した人は極めて少なかった。

それから僅か3年程の間に、AIを取り巻く情勢は夜と昼ほどに様変わりした。今や各種メーカーをはじめとした多くの日本企業がこの分野への投資を急拡大し、カスタマー・サポートや経営判断にAIが導入されるケースも見受けられる。

また、銀行の営業フロアやホテルの受付などではヒューマノイド(人型ロボット)が顧客を迎え入れ、投資会社などはAIやロボット専門のファンドまで立ち上げようとしている。さらに政府は人工知能の普及に向けた研究拠点を大急ぎで拡充している。

が、つい数年前までの、ほとんど無関心に近いような状態から、AIに対する関心が短期間のうちにあまりにも急激に盛り上がったせいか、今はむしろオーバーシュート気味で、行き過ぎたブームや過大評価などが目立ち始めたように思われる。

この分野に関心をお持ちの方であれば、よく御存じの通り、AIは過去に2度、今回のように加熱したブーム、つまりバブルとその崩壊を経験した。いずれも、その後には「AIの冬」と呼ばれる長い低迷期が到来。この時期にはAIへの投資が冷え込んだだけでなく、この分野を専門とする科学者や技術者が日陰の道を歩むなど、AIの研究開発や産業化は著しく停滞した。

今回、3度目のブームを迎える中、過去と同じ過ちを繰り返さないためには、今のAIに何が出来て、何が出来ないのか、これを明確にして、過剰な期待が引き起こす「AIのバブル化」を早急に食い止める必要があるのではないだろうか。

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