文庫の森
2015年08月12日(水) 佐藤さとる,村上勉

佐藤さとる×村上勉
「戦争の前も後も、僕らはずっと悪ガキだった」

『わんぱく天国』復刊記念対談

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佐藤さとるさん(左)と村上勉さん

だれも知らない小さな国』にはじまる「コロボックル物語」シリーズや『おおきなきがほしい』『おばあさんのひこうき』といった名作絵本などで、児童書の世界を引っ張ってきた名コンビ、佐藤さとるさんと村上勉さん。戦争直前の子どもたちを描いた長編小説『わんぱく天国』が新しいカバー絵とともに復刊したのを機に実現した対談。なんと会うのは8年ぶりだった!

 * * *

村上 最後に会ったのは8年前、九段のパーティのときだよね。それ以来だよ!

佐藤 最初に会ったのはトム(村上さんのこと)が19、僕は35のとき。トムは編集部におつかいさんできたんだよなあ。

村上 ぼくは18だったと思うよ。佐藤さんはもう出版社の児童部にいたよね。兄3人が当時流行のグラフィックデザイナーで、その手伝いをしていたんだ。

佐藤 ちょうどそのときはコロボックル物語の『だれも知らない小さな国』と『豆つぶほどの小さないぬ』が若菜珪さんの挿絵で出ていて、若菜さんから自分の代わりを探したらどうかと言われていた。そのときおつかいにきたトムに「描いてみないか」っていったら、すごいのを描いてきたんだ。感動して、3冊目の『星からおちた小さな人』を描いてもらうことにした。  

村上 当時は丸ペンを削って描いてたね。それで、『星からおちた小さな人』を描くと同時に、最初の2冊とも描きなおして。三部作を出した。

最初は佐藤さんによく喫茶店でコロボックルのイメージをスケッチしてもらって、持ち帰って絵を描いていたなあ。

佐藤 トムの机にはさ、コロボックルの人形が木で彫って立ててあるんだよね。ぼくが寸法のことを厳しく言っていたからさ。それを崩されちゃうと困っちゃうって。

村上 それは徹底して言われたもの。大きくても3センチ3ミリだって。

「コロボックル物語」の4冊目『ふしぎな目をした男の子』、が刊行されたのが1971年。『わんぱく天国』はその前の‘70年に刊行された作品だ。ファンタジーでない長編は実は本作だけ。「主人公の加藤カオルはサトルの分身」(佐藤さん)という自伝的名作でもある。戦争の空気がただよう昭和10年代、子どもたちのグループが遊び場を巡って対決するところから物語がはじまる。めんこにこま、一銭飛行機飛ばしなど、当時の遊びが村上さんの絵とともに細かく描写され、「遊び方教則本」としても楽しめる一冊だ。

当時のめんこラインナップ。「まるめん」が一番メジャーだった。遊び方もイラストで再現。『わんぱく天国』より(以下同)
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