「現代ビジネス」政策講談-それ本当ですか?

40億円かけた調査がムダに!
原子力規制行政の「中立・公正」は本当に守られているのか

2015年07月29日(水) 石川 和男
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志賀原子力発電所(Wikipediaより)

規制行政として明らかに不適格

今年7月17日、原子力規制委員会(とその事務局である原子力規制庁)の傘下にある「志賀原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合」(※1)は、北陸電力・志賀原子力発電所の敷地内シーム(亀裂)は“(活断層の)可能性は否定できない”との評価書案(※2)を提示した。
※1 https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/shika_hasaitai/00000004.html
※2 https://www.nsr.go.jp/data/000115389.pdf

翌18日の産経新聞ネット記事(※3)では、この評価に当たって北陸電は「約40億円かけて調査を拡充」し、「新データでは、延長部で断層がずれていないことが確認された」のだが、この有識者たちは「これらの新データを考慮せず、約30年前のスケッチや写真に固執し、「(活断層を)否定できない」という結論を下した」とある。
※3 http://www.sankei.com/affairs/news/150718/afr1507180008-n1.html

一口に「約40億円」と言っても、これは巨額なおカネ。本シリーズ(※4)でも何度か取り上げてきた日本原子力発電・敦賀原発や東北電力・東通原発に関する“活断層の評価”にも言えることだが、事業者側は、規制委・規制庁のこうした規制運用に係る調査などのために巨額の費用を負担している。例えば、北陸電・志賀原発に係るこの「約40億円」は、いったい誰が負担するのだろうか? 実際には、北陸電の需要家が支払う電気代に上乗せされている。
※4 http://gendai.ismedia.jp/category/seisakukoudan

これは、規制をクリアするための調査に必要なコスト負担ではあり、見方を変えれば、規制当局によるコスト負担の強制だ。電力会社ほどの規模であるならば、数百万円~数千万円単位ならば耐えられる水準かもしれない。だが、数十億円単位ともなると、もはや看過できないほどの規模ではないのか?

上記の産経新聞ネット記事にもあるように、今般の有識者会合で「活断層の疑い」を判断された大きな根拠は、志賀原発を建設する前の1987年に掘削された試掘溝(トレンチ)のスケッチ。この古いスケッチや写真を基に、1988年、北陸電は志賀1号機の原子炉設置許可を取得した。もし今後、設置許可当時のものと同じデータを使いながら、規制委・規制庁が設置許可当時の判断を覆そうとするのであれば、今般の有識者会合の評価とはいったいどこがどう違うのかについて、明確な比較をしながら説明しなければならない。

警察による犯罪取締りなどとは全く違って、経済規制や社会規制の運用において規制当局(規制する側)が事業者(規制される側)に対して一方的に判断を押し付けるのは、規制行政として明らかに不適格だ。

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