市川裕康「デジタル・キュレーション」

グーグルの調査で明らかになった「興味ある傍観者」の存在---政治・市民活動を「自分ごと」として理解してもらうためには #PDF15

2015年06月30日(火) 市川 裕康
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「Interested Bystanders(興味は持っている傍観者)」が市民活動に参加するためには、義務として訴えるだけでなく、自分ごととしての興味を持ってもらうことが大事、と指摘するKate Krontiris氏

毎年6月にニューヨークで開催される政治・行政・市民参画とテクノロジーに関する国際会議「パーソナル・デモクラシー・フォーラム(Personal Democracy Forum:以下PDF)」に今年も参加する機会を得ました。

以前に何度かレポートしたとおり(2013年2014年)、PDFには約850人の起業家、社会起業家、アクティビスト、企業の政策担当者、ハッカー、ジャーナリスト、学者、政治家、連邦政府・地方自治体政府・財団・NPO職員などが一堂に会し、「テクノロジーを活用することで行政、政治、市民活動の課題をいかに解決しうるか」というテーマについて、2日間、議論・ネットワーキングが行われるカンファレンスです。前回前々回に続き、今回も気になったトピックについてご紹介したいと思います。

米国民の大半を占める「興味は持っている傍観者」とどう向き合うべきか

今回お伝えしたいテーマは古くて新しいテーマである、市民一人ひとりの政治・市民活動への参画に関する現状と課題についてです。PDFの冒頭のセッションで紹介されたのは、「政治・行政に関してはニュースなどで情報としては認識しているものの、投票や市民活動として参加はしない人〜"Interested Bystanders(興味は持っている傍観者)"」に関する包括的な調査結果でした。

グーグル社のシビック・イノベーションチームが1年をかけて行った約100人の聞き取り調査と約2000人のオンライン調査結果によると、アメリカ人のおよそ半分(48.9%)がこうしたカテゴリーに属し、身の回りの政治や社会課題に興味はあるものの、そのことについて積極的な発言、投票・署名活動などの参加は限定的であるという結果が明らかになりました。

レポートは45ページにまとめられていて、スライドなども専用ウェブサイト上に共有されているのですが、例えば以下のような興味深いポイントが指摘されています。

・「Interested Bystanders」は知識として政治・社会のことに興味はあるものの、政治的な活動への参加や発言は友人・同僚との対立を招く恐れ、十分な知識を持ちえてないことからの発言の遠慮、そもそもネガティブな印象を持っている、自分の行動がインパクトをもたらすと思えない、などの理由で政治的な行動には移さない。ただ地域のボランティア活動や社交的な活動には参加する。

・多くの「Interested Bystanders」は地方のほうが影響力を行使しうることを理解しながらも国政選挙に参加する傾向が高く、地域の投票活動にはあまり参加せず、興味も薄い。

・市民的な活動に参加する場合は、自分や自分の家族に直接関係する争点がある際、プロフェッショナルなスキルなどが活かせる際、そして過去に同様の成功体験があり、感情的に意義や満足感が得られるとき。

こうしたリサーチが指摘する現実を踏まえ、選挙啓発キャンペーン、あるいは市民参画活性化のためのウェブサービス、そして何より行政サービスそのものを考えるべきである、とレポートは指摘しています。Interested Bystandersは国民の大半を占める大きなターゲットであるからです。

日本の状況に照らし合わせても、義務感に訴えて単に「投票は国民の義務です。投票することに意味がある」とアイドルやタレントを起用したポスターやテレビCMに莫大な費用をかけるより、「自分ごと」として政治・市民活動を理解してもらえるような情報・データ提供を行うことなどが想定されるかもしれません。

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