
あまりにもデタラメだった新国立競技場建設の関連資料
新国立競技場建設をめぐる諸問題が、やっと国民全体の関心事となった。発端は、5月18日に行われた私と下村文科大臣との会談である(5月19日の本欄参照)。この席で、大臣は、整備費について、東京都が500億円支出するように求めた。そこで、私は、その前提として、総工費、工事の工程表を出してほしいと応じ、さまざまな疑問点について問い糾した。すると、大臣は、予定の期限に間に合わないので「屋根なし」「仮設の座席を設ける」「整備費は予定よりも多額となる」と述べた。
そのようなことを聞くのは、国民にとって初めてであり、その後、多くの批判、論評が展開されることになったのは周知の事実である。私は、国民が抱く素朴な疑問を呈したのである。何も間違ったことは言っていないと確信しているが、当の文科大臣はじめ、関係者から礼を失した非難すら寄せられている。
そこで、これまでの経過を説明し、その過程で明らかになった問題点を指摘しておきたいと思う。新国立競技場は、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会のメインスタジアムであり、それが計画された形で完成しないとなれば大問題である。だから、開催地の知事として、この問題は看過できないのである。
私は、4月1日に入院し、翌日、変形性関節症の手術を受けた。入院中に、病室で新国立競技場建設関連の資料を精査し、また都の担当者を呼び、状況の把握に努めたところ、あまりにもデタラメな惨状に驚愕した。そこで、政府にこの状況を伝え、早急に解決策を模索すべきだという結論に達したのである。
リハビリ訓練の成果が上がり、4月28日に退院することができたので、さっそく30日(29日は休日)から動きだし、その日のうちに森組織委員会会長、官邸、そして、後日に数人の大臣らを訪ねた。そして、文科省のみならず、財務省、総務省、国土交通省などが協力して、政府一体となって問題解決のためにすぐに行動に移すように促した。その際に、東京都としてもできるかぎりの協力をするが、政府から一度も正式な依頼がないので、下村大臣にまずは協力依頼の挨拶に来るようにと、こちらからお願いしたのである。その件は、森会長からすぐに下村大臣に伝えられている。
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