G2 ノンフィクション
2015年05月28日(木) g2

「ノンフィクションで理念とビジネスを両立するには手数が必要」 安田浩一×佐藤慶一対談「ノンフィクション・メディアの意義・課題・希望」【後編】

upperline
(左)ジャーナリスト・安田浩一、(右)Web編集者・佐藤慶一

5月22日に発売されたノンフィクション誌『G2(ジーツー)vol.19』。『月刊現代』の後継誌として2009年に創刊されたが、19号目にして休刊となる。はたして、「ノンフィクション」はこれからどこで生きていくのか。その場所や手法については今後、ますます問われ続けることになるだろう。

今号に「HATE THE HATES ヘイトな馬鹿に鉄槌を」と題したレポートを寄せたジャーナリストの安田浩一と「ノンフィクションを読まない24歳Web編集者がノンフィクション・メディアの未来について考えてみた」を書いたWeb編集者の佐藤慶一、そして『G2 vol.19』の編集人を務めた青木肇を加えた3名が、ノンフィクション・メディアの意義、課題、希望などを語った(対談日:5月13日/構成:佐藤慶一)。前編はこちら

「取材費と原稿料が出るならば媒体は選ばない」

佐藤:ネットジャーナリズムでは透明性・公開性を打ち出した取材活動が可能になると思います。ただ、ネタ元の漏えいなど危うい点もあって、既存のジャーナリズムの当たり前を崩していくこともありえます。こういったネットにおける透明性というのは、たとえば、クラウドファンディング活用して調査報道するのがむずかしいことにもつながりますか?

青木:実はクラウドファンディングについては、「安田さんの新刊書籍を応援する」という形でやってみようかという話はありました。ただ、安田さん自身は、他人から寄付をいただいて、そのお金で取材をして原稿を書くことに対して抵抗があったような・・・。

安田:う~ん、そうなんだよね。クラウドファンディングに関して言えば、やっぱり抵抗あるんです。取材費を読者からもらってよいものなのかと思ってしまう。ノンフィクションライターのなかには、自分でサイトを作って口座番号を書いている人もいます。ぼくは取材費を出版社からもらうか、そうでないなら自分で稼ぐか、そのどっちかしかないと思っています。一種の信仰みたいなものかな。うまく言えないけれど、クラウドファンディングで取材費を調達するってのは、僕の中で合理化できない。

そして、前回の話に戻りますけど、ネットの透明性については、取材データの公開にも多少の抵抗がある。ただし、ノンフィクションの分野というのは、ときに、読者を裏切ってきたこともあるわけです。嘘を書いたり、真実でなかったり、おもしろおかしく書いたり、タイトルありきの取材しかしなかったり。読者からの指摘は常にあるし、捏造の問題も付きまとう。その不信感があるからこそ、これからは検証可能なノンフィクションが重要な柱になるでしょう。週刊誌でも「ある関係者は〜」というような書き方はそろそろやめるべきだと思いますし、そうした意味での「透明性」は当然必要だと思っています。ネット上では細かいことも検証されるので、書き手にとっては辛い状況だけれども、ここをくぐらないといけない。

あとはビジネスモデルの問題。たとえば、『G2』の佐藤さんの記事でも紹介されていた、アメリカのプロパブリカは決して大きなサイトではないけれど、莫大な寄付金で成り立っている。財団がスポンサーに付いている意義は大きいし、日本でもあのようなメディアがあってもいいと思う。プロパブリカが寄付金に加えて、データの販売もおこなっているのは、実現可能なモデルかどうかはさておき、おもしろいと思いました。それから、プロパブリカは調査報道を各媒体に配信する、いわば通信社的な機能を持っている。ぼくも、取材費と原稿料が出るならば、媒体は選ばないと思います。どんな媒体でもちゃんと自分の報道をすればいい。ウェブだからといって、毛嫌いしているわけではありません。

青木:しつこくてすみませんけど、収益になるなら安田さんがクラウドファンディングをやったりというのもありなのではないですか?

安田:だから、生理的にダメなんです(笑)。なんで取材費を読者からもらわなくちゃいけないのかわけわからない。読者を裏切るかもしれないし、読者の期待に沿えないこともあるだろうから。あと、古典的なジャーナリズムの考えだけど、書き手が出版社以外からお金をもらっていいのかということはあると思う。読者からもらうくらいだったら自腹で取材する。

青木:その考え方はピュアすぎませんか? ぼくは出版社以外からももらっていいと思うけど・・・。もちろん、出版社側も取材費はきちんと出すのが前提ですが。

安田:僕なんかしょっちゅうネットユーザーから叩かれているから、たぶん、2ちゃんねるあたりで「カンパ乞食」とか言われるよね。想像するだけで嫌だ。

目指したのはアメリカ雑誌界の頂点『ザ・ニューヨーカー』。
新しいノンフィクション・ジャーナリズムの形を示そうと、すべてを大幅にリニューアルしました。

雑「誌」とは、「志」を「言(ことば)」で語るものだと思います。12本の特集記事から新しい風を感じ取ってもらえることを願いつつ。


『G2(ジーツー) Vol.19』
(講談社MOOK/税別価格:900円)

▼Amazonはこちら
 =>http://www.amazon.co.jp/dp/4062843692
▼楽天ブックスはこちら
 =>http://books.rakuten.co.jp/rb/13224712/

1
nextpage



underline
アクセスランキング
1時間
24時間
編集部お薦め記事
最新記事