G2 ノンフィクション
2015年05月22日(金) G2,佐藤慶一

ノンフィクションを読まない24歳Web編集者がノンフィクション・メディアの未来について考えてみた

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本記事は5月22日発売の『G2(ジーツー)Vol.19』に収録しています。その一部を現代ビジネスでも掲載します。

目指したのはアメリカの雑誌界の最高峰――
「ザ・ニューヨーカー」
『G2(ジーツー) Vol.19』
(講談社MOOK/税別価格:900円)

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ジャーナリスト・安田浩一さんとWeb編集者・佐藤慶一さんによる、『G2(ジーツ)Vol.19』刊行特別対談「旧メディアvs.新メディア~これからのメディアの未来(仮)』を後日現代ビジネスに掲載します。こちらもお楽しみに!
(掲載は5月28日を予定しています。)

* * *

ノンフィクション・メディアの問題点

「ノンフィクションって、やっぱりこれからは紙からウェブに移行しなくちゃダメなの?それともこのまま紙媒体で生き残る方法はあるの?」

そんな言葉を聞いたのは3月上旬のことだった。場所は講談社22階の学芸図書出版部、発言の主は、この『G2』第19号を1号だけ編集人を務める青木肇だ。

1966年12月創刊、2009年1月号まで続いた『月刊現代』の後継誌として生まれた『G2』は、19号目となる今号、2015年5月号で休刊する。『月刊現代』は最盛期に36万部以上の発行部数を記録した時代もあったそうだが、2000年代に入ると漸減し、8万部あたりで休刊となった。現在の『G2』は発行部数6000部、実売は3000部ほどだという。休刊に際して、冒頭の大きな問いの答えを求められてこの原稿を書いている。

2009年1月号をもって『月刊現代』は休刊した。

私は1990年生まれの編集者である。講談社のWebメディア「現代ビジネス」編集部に所属しながら、国内外のメディアの最新動向を追うブログ「メディアの輪郭」を更新している。青木はなぜノンフィクションの世界などまったく知らない私に原稿を依頼したのか。そのときのやりとりはおおよそ次のようなものだった。

青木 「今回、『ノンフィクションの未来』というテーマで原稿書いてくれない?」

 「え、私、ノンフィクションについて何も知らないんですけど大丈夫ですか?」

青木 「いや、君は海外のメディア事情に詳しいし、Webメディアの編集者でしょ?未来のノンフィクションの姿は、たぶん君のような、海外のメディア事情やネットに強い人に語ってもらったほうが、いろいろ面白いアイデアが出てくると思うんだよね」

 「う~ん、ノンフィクションは時代についていけてないなぁという印象はなんとなく持っていますけど」

青木 「いきなり厳しいね。でも、何でも好きなことを書いてほしい。『月刊現代』や『G2』のようなノンフィクション雑誌(ノンフィクション・メディア)は、紙媒体としてもまだまだ活動の余地があるのか? あるいはWebの世界で、これまでとは違った形で成立していくのか? はたまた消滅せざるを得ないのか? そのあたりをテーマにして、君なりの答えを出してほしい。もちろん君が出した答えに全面的に賛同することはできないかもしれないけどね。でも、議論は少しぐらい過激なほうが面白いじゃない? 雑誌の役割ってそういうものだと思うし」

雑誌『SPECTATOR』のwebサイト

なんとなくノンフィクションの課題は頭に浮かぶが、自分はそもそも「ノンフィクション誌」について何も知らないため、指摘の精度が下がってしまいそうだ。そこでまずは青木にノンフィクションの世界や現状についてヒアリングする機会をもらった。

「Webメディアやリトルプレス(個人や少人数のグループが、企画・製作・販売を行う小冊子)が好調だという話を聞くたびに焦りを感じるんだよね」と青木は言う。実際、多くの人に読まれるニュース系のWebメディアが次々生まれる一方、小さいながらも濃いコミュニティに刺さるようなノンフィクション系のリトルプレスも目立つ。

雑誌『murren』のwebサイト

私が好きなところでは、エッジの利いたテーマについて取材対象から直接見聞きしたことを深く描写していく『SPECTATOR』という雑誌は2万~3万部売れているというし、山と溪谷社の編集者だった若菜晃子さんがつくる『murren』も手に取る知り合いが多い。

他方、『G2』は実売3000部ということだから、ビジネスモデルとして成立していないことは明らかだ。青木は「事実をしっかり調べて書くためのコストはものすごくかかる」と言う。フィクションとは違い、事実の検証を地道に重ねていくことにかかる時間や費用は、Web編集者の私からすると想像するのがなかなか難しい。青木によれば、原稿料や取材費、出張費などをすべて足した『G2』1号当たりの編集経費はおよそ600万~700万円。これに印刷代や紙代などの製作コストがさらに上乗せされる。

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