舛添レポート

【舛添都知事日記】イギリス総選挙と大阪都構想の住民投票から認識すべき「民主主義のコスト」

2015年05月12日(火) 舛添 要一
upperline
〔PHOTO〕gettyimages

民意を正確に反映できない小選挙区制度

イギリスの総選挙は、事前の予想と異なり、保守党が単独過半数を獲得し、キャメロン首相が引き続き政権を担当することとなった。この結果に対しては、好調な経済運営に対する評価やイギリス国民の安定志向の現れだという意見もある。

しかし、スコットランドでは、地域政党であるスコットランド民族党が、域内59議席のうち56議席を獲得し、大躍進を遂げた。国の統一という観点からは大きな問題を残したと言えよう。EUとの関係も、今後は重要な争点となり、ヨーロッパ全体にとっても将来に暗い影を投じている。

ところで、今回もまた、「小選挙区制度」という選挙区制度の問題点が大きくクローズアップされた。小選挙区制度は、二大政党に票が集まり、安定政権をもたらし、政権交代を容易にするという利点がある反面、死票が多いという問題がある。

今回のイギリス総選挙の結果を見ると、保守党は36.9%の得票率で331議席(全650議席中)、労働党は30.4%で232議席であるのに対して、得票率で第3位の12.6%のイギリス独立党はわずか1議席しか獲得していないし、得票率第4位で7.9%の自由民主党は8議席に留まっている。一方、スコットランド民族党は、得票率で第5位の4.7%で56議席を得ている。

多様な民意を反映させるという点からは、あまりにも問題が多い制度である。二大政党制は終わるという事前の予想に反して、保守党が単独過半数を得たのは、小選挙区制度によるところが多い。このような単純小選挙区制度は、世界的に見ても、主要国では例外的な制度である。

比例代表制度については、小選挙区制度とまったく逆の特性があるが、今の日本の衆議院は、両者を混合した小選挙区比例代表並立制度を採用している。ただ、並立制度とはいえ、基本は小選挙区制度なので、死票の問題などは残るが、その点については惜敗率という救済制度が設けられている。

いずれの選挙制度も、利点と問題点をかかえているが、それについても、どの政党の立場をとるかによって、主張が異なってくる。二大政党制、安定政権という結果を伴うことが多いにしても、小選挙区制度が、民意の正確な反映という意味では問題をはらんでいることは疑いない。有権者が投票によって自らの代表を選ぶという間接民主主義が十分に機能を果たすためには、選挙制度を不断に見直していくという態度が必要である。その努力を怠れば、代議制民主主義に対する信頼が失われていく。

1
nextpage



underline
アクセスランキング
1時間
24時間
編集部お薦め記事
最新記事