経済の死角

米倉誠一郎の「2枚目の名刺」を持とう
第1回 「2枚目の名刺」をまず作ってしまえ

2015年04月30日(木)
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元気塾塾長の米倉誠一郎氏                    (写真・御厨慎一郎)

一橋大学イノベーション研究センター教授で六本木アカデミーヒルズの「日本元気塾」塾長でもある米倉誠一郎さん。米倉教授が提唱する新しい働き方を通称「2枚目の名刺」と名付けました。その「2枚目の名刺」を使いこなす働き方の大事なエッセンスを10ヵ条にして、10回にわたり米倉教授の短期集中講座をお届けします。

はじめに

 会社に勤務しているにもかかわらず、やりがい、生きがいを感じられないとしよう。会社を辞めてしまうには、まだ生活不安があってちょっと勇気が足りない。だったら、まず「2枚目の名刺」を持つというチョイスをしようという趣旨の本、『2枚目の名刺 未来を変える働き方』を最近書いた。

 人生のエキサイトメントは自分自身の選択によって生まれるのであって、誰かが与えてくれるわけではない。どんなに小さな一歩であっても、未来に新たな可能性を加えるのは自分自身だというところが「2枚目の名刺」の重要な出発点だ。

「2枚目の名刺」を持って外の世界に出てみると、新しい靴を履いたような喜びがある。不思議な人脈が広がり、思わぬ困難にもぶつかるかもしれない。でも、すべては自分の選択なのだから知恵が湧く。

 えいやー、と自分でチョイスすることがなにしろ重要なのだ。

「2枚目の名刺」は誰でも出来る小さな一歩かもしれないが、しかしその小さな一歩が停滞感のある日本社会にとって大事なカギを握っていると思う。その論点を10にまとめてみた。

1    まずは「2枚目の名刺」を持ってみる

 自分の可能性を諦めないために、まずは「2枚目の名刺」を勧めたい。90年代のバブル崩壊から続いた「失われた20年」。その間、一人当たりのGDPは世界第3位から24位にまで低下し、日本製品もさまざまなパラダイムチェンジの前で競争力を失ってきた。

 パソコン・半導体・液晶テレビなどはモジュラー化によって垂直統合型から水平分業型のビジネスになり、携帯はスマートフォン一色になった。多くの世界ランキングで、日本はそのポジションを徐々に落としている。人間の常として、窮地に陥ると自分の弱点ばかりが目に付く。しかし、苦しい時こそ自分たちの強みをしっかり認識しないと前には進めない。

 そう考えると、わが日本国は他国と比べて、まだまだ豊かな国であることは間違いない。教育を受ける自由、職業選択の自由、恋愛の自由、住みたい場所で安全に暮らす自由。もちろん、拡大する格差や悪化する財政基盤など問題がないわけではない。しかし、本気で実現したいと思えばきわめて可能性の高い国である。

 自分で選択できる自由、これが人間にとって一番の豊かさだ。

 その可能性はいま世界にあって最高水準にあると思う。にもかかわらず、残念なことに、その自由という権利を放棄している人が多すぎるのではないだろうか。

 本稿でみなさんに伝えたいメッセージを、ストレートにいうならば「どうせ1回しかない人生、もっと愉快に生きようぜ!」ということだ。

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