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2015年05月04日(月) 古谷経衡

「インターネットは世論を反映している」というのは嘘。「突出した少数者による異空間」とみなすべき!

『インターネットは永遠にリアル社会を超えられない』より

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Photo by Thinkstock

『インターネットは永遠にリアル社会を超えられない』はじめにより抜粋

イスラム国は動画再生回数でテロの有効性を図っている!?

2015年1月20日、衝撃的なニュースが日本のみならず、世界中を駆け巡った。

イスラム過激派による武装集団「イスラム国」(ISIS以下、「イスラム国」と記述)が、日本人ジャーナリスト後藤健二さんと、民間軍事会社代表の湯川遥菜さんの2名を拘束し、インターネット上の動画共有サイトで日本政府に対し、2億ドル(約240億円)の身代金を要求する、という暴挙に出たのだ。

その後、「イスラム国」は要求を、ヨルダンが拘束している死刑囚の釈放へと変更し、解放交渉は難航をきわめた。

が、結局「イスラム国」は人質を釈放しないまま2人を殺害した動画を投稿した。

既存のテレビ局や新聞社といった発信ツールを持たない「イスラム国」がYouTube上にアップしたこの事件にかんする一連の動画は、瞬く間に全世界に広がっていった。

この事件の経緯については、さまざまな報道がなされているので、ここで詳しくは書かない。今回とくに私が注目したのは、この誘拐事件の直後に、日本のTwitterで盛んに拡散がなされた次のようなツイートの存在である。

「イスラム国はYouTubeで表示される再生回数から、テロの有効性を判断する可能性がある。だからイスラム国が投稿した動画は再生せずに、テレビでの二次視聴をするように」

つまり、加害者である「イスラム国」は、人質2人を拘束した「テロ」の有効性を、YouTubeの再生回数で推し量っている、というものだ。

このツイートに触発されたのか、誘拐事件発生からしばらくの間、「イスラム国」の投稿した動画を再生しないように、というニュアンスの注意喚起とも取れるツイートが飛び交うことになった。

「イスラム国」がYouTube上に投稿した動画は、その投稿直後からYouTubeのみならず、Dailymotionなど、ほかの海外動画サイトにも瞬く間に転載され、再生数はわずか数時間で数万回にのぼった。

「イスラム国」がYouTubeの動画の再生回数を、己の「テロ活動」の成否を量るバロメーターとしている、というその言説が正しければ、たしかに、彼らの投稿した動画を「意図的に再生しない」ことが、彼らの起こしたテロという犯罪に対する、ささやかな反抗行為ということもできなくはない。

だからこの、「イスラム国の投稿した動画を再生するな」というTwitter上での呼びかけは、当初大きな説得力をもってネット上を駆け巡った。この手の呼びかけのツイートは、確認しただけでも数千リツイートという、驚異的な拡散力を誇った。

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