毎日フォーラム~毎日新聞社

「新潟ニューフードバレー」構想
国家戦略特区の指定受け、食品産業と農業の連携[食と農]

2015年04月26日(日) 万年野党事務局
毎日フォーラム
upperline

新潟市は、昨年5月に大規模農業の改革拠点として国家戦略特区の指定を受け、食品産業と農業の連携する「新潟ニューフードバレー」構想を推進している。米どころの特区としては、農業の規模拡大や6次産業化を進める役割も担う。「食と農」が一体となって発展を目指すフロントランナーとして注目されている。

この構想は、農業に関する「生産・加工・販売」を一体的にとらえ、シームレスにつなげていくことを目指している。新潟を世界に開かれた食の流通拠点としての食料輸出入基地とし、世界の「農業・食品産業」の最先端都市にすることを掲げている。食と農の先進国オランダが産学官の連携を図って先進的な取り組みを自薦している「フードバレー」戦略を参考としている。

産学官連携を象徴するような取り組みが1月末に、新潟市の朱鷺メッセで開かれた。新潟大学が主催した「ロシア連邦沿海地方への農業投資促進事業」の報告会だ。農林水産省の補助を受けた同大学農学部が新潟市の協力を得て、沿海地方での農業投資の可能性を探るための現地での大豆などの試験栽培や現地の情勢調査を行い、その成果を報告するイベントだった。会場には県内の輸出入関連の業者や農産品の加工業者など100人近くが押しかけた。

沿海州で大豆の試験栽培

試験栽培は14年4月から、新潟大学がロシアの国立大学「沿海地方農業アカデミー」と共同で実施。寒冷地に適した日本の発酵食品に使える大豆の試験栽培に取り組んだ。アカデミーが持つ約3ヘクタールの農地で、みそやしょうゆなどの加工に適した日本原産の品種「エンレイ」が、沿海州の土壌や気候の中で生育するかどうかを調べることが目的だ。

大豆生産は米国やカナダが世界の上位を占めるが、遺伝子組み換えによるものが主流で、日本のメーカーの多くは消費者の不安や嗜好に応えるために、現地の農家との特別契約を結んで遺伝子組み換えではない大豆を確保している。しかし、原材料費の高止まり状況が続き、発酵食品メーカーの経営を圧迫している状況だ。

試験栽培を指導した長谷川英夫・同大准教授は「新潟市内では、古くからみそ、しょうゆの発酵食品メーカーがある。大豆の供給地として沿海州が確保できれば、米国より距離が短い分だけ、輸送コストも下がり、大豆の高騰に苦しむ新潟市内の発酵食品メーカーを助けることができる」と話している。昨年の試験栽培では、エンレイの十分な生育が確認できなかったが、15年度も引き続き栽培実験を行い、北海道で栽培されている品種などを試す方針だ。

国家戦略特区は、アベノミクスのいわゆる第三の矢である「新たな成長戦略」の要の一つだ。全国で同時に6地域が指定を受けた。規制・制度改革を通して経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力の強化とともに、国際的な経済活動の拠点の形成を図ることを目的としている。

農業分野では新潟市とともに兵庫県養父市が指定を受け、(1)農業生産法人に係る農地法等の特例(2)農業委員会と市町村の事務分担に係る特例(3)農家レストラン設置に係る特例(4)農業への信用保証制度の適用――の4項目の規制緩和策が認められ、農地の流動化、商工業者とともに行う農業についての資金調達の円滑化などによって農業の6次産業化を推進することを目標に掲げている。

1
nextpage


最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
編集部お薦め記事
最新記事