毎日フォーラム~毎日新聞社

大都市部の私大入学者抑制へ
文科省、16年度から補助金交付基準を厳格化[大学]

2015年04月13日(月) 毎日フォーラム
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文部科学省は早ければ2016年度の大学入学者から、首都圏など大都市部にある私立大学の入学者数を抑制する方針だ。「私立大学等経常費補助金」の不交付対象となる入学定員超過率のラインを厳しくするもので、現在、定員8000人以上の大規模大学の場合、定員の120%以上なら不交付になるが、これを110~107%まで減らす方針で調整している。定員8000人未満の私立大も、現行の130%から120%へ引き下げる。

「私立大学等経常費補助金」は私立大や高等専門学校を対象に、教育・研究環境の向上や学生の負担軽減のため補助する制度で、教職員数や学生数に応じて交付する。私立大収入の約1割を占め、13年度は880校に計3204億円を交付した。

同補助金の不交付ルールを厳格化する狙いは主に2点ある。一つは、大都市への学生集中を抑制し、地方からの学生流出に歯止めをかけること。安倍晋三政権が推進する地方創生策の一環だ。

対象となるのは、首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)▽関西圏(京都、大阪、兵庫)▽中部圏(愛知)の私立大。

なぜこの3大都市圏が対象なのか。文科省や日本私立学校振興・共済事業団によると、14年度は私立大全体では46%が定員割れを起こしている。この割合は前年度より5・5ポイント上昇している。しかし、その多くは地方大学で、3大都市圏では逆の現象が起きているのだ。

3大都市圏に偏る入学者

3大都市圏の私立大入学者は、▽首都圏20万4287人▽関西圏7万6677人▽中部圏2万9206人。この3大都市圏だけで計約31万人に上り、全私立大の入学者の65%、国公私立合わせた入学者のおよそ半数を占める。

このうち入学定員を超過した人数は計約3万3000人(首都圏2万2007人▽関西圏7541人▽中部圏3386人)。中でも定員の110%以上の学生数は計約2万6000人で8割を占める。定員超過率の基準を110%近くまで引き下げる狙いはここにある。新基準が適用されると、超過人数の多くが不交付対象になるとみられる。

定員超過率の厳格化のもう一つ狙いは、「地方創生」よりも以前から指摘されていたもので、教育環境の改善だ。

教員当たりの学生数(ST比)は、日本は欧米の有名大学と比べると高い傾向にある。国内の国立、私立のトップ大学である東京大、京都大、慶応大、早稲田大の4大学の平均は15・2。一方、ハーバード大(米)は4・36、ケンブリッジ大(英)は4・66、カリフォルニア工科大(米)は5・56、などと教員数が充実している。

大学では、教授が一方的に講義する従来の授業方式から、学生自身で課題を見つけ討論しながら解決策を探る「アクティブラーニング(課題解決型学習)」の必要性が高まっており、多くの大学で取り入れる動きが進んでいる。ST比の引き上げは不可欠だ。

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