町田徹「ニュースの深層」
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安倍官邸への不信を隠さなくなった黒田日銀総裁。
財政健全化と異次元緩和めぐるジレンマの出口とは

2015年04月07日(火)
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安倍官邸とすきま風?                         photo Getty Images

就任3年目を迎えた黒田東彦日銀総裁がジレンマに直面している。

異次元の金融緩和(量的・質的金融緩和)によって「2年程度で消費者物価上昇率2%を達成する」という当初のデフレ脱却公約が実現できないことに批判が強まっている一方で、安倍政権が従来の財政健全化計画を棚上げにするととられかねない新目標の策定に強い意欲を見せ、結果的に異次元緩和の継続・強化が覚束ない雲行きになっているからだ。

市場からは容赦ない「追加緩和催促」の声

それでも、市場は、対外的な公約であるデフレ脱却を果たすため、月内にも追加緩和が必要だと容赦のない催促の声をあげている。

黒田総裁は決して口にしないが、デフレ脱却と並ぶ重要課題として、消費増税による財政健全化に耐えられる経済環境作りを目指していたはずだ。そのための暗黙の狙いとして円高是正も心中にあったはず。八方塞がりの中で、黒田総裁は、どういう舵取りをするつもりなのだろうか。

2013年3月21日の就任記者会見で、「(物価上昇率を2%に押し上げるために)できることはなんでもやる」と宣言したためか、黒田総裁がデフレからの脱却だけを唯一の政策目標としているかのような印象を持つ人が多いようだが、それは違う。その証拠に、この日の会見の冒頭で、黒田氏は優先度の高い使命として「何といっても、物価の安定」と述べた後、すかさず「もう一つはもちろん、金融システムの安定」と語っている。

その前提条件として、黒田総裁の腹の内に「財政健全化」が深く刻まれていることが垣間見えたのは昨年10月末のことだ。

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