町田徹「ニュースの深層」
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大塚家具がニトリとの差を縮めるには、「経営と所有の分離」しかない!?

2015年03月31日(火) 町田 徹
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 「材料出尽くし」の大塚家具と「一本調子」のニトリ

大塚家具の株価は先週金曜日(3月27日)、大引けにかけてストンと下げた。株主総会が終わり、現行の2倍の年80円への増配を公約していた現経営陣の続投が決まったと伝わった直後(13時過ぎ)に前日比168円高とこの日の高値を付けたのも束の間、終値(15時)は同16円安の1566円に過ぎなかったのだ。典型的な「材料出尽くし相場」だが、2つのできごとを告げる鐘だったと見ることも可能である。

第一は、創業者である大塚勝久前会長(3月27日付で退任)とその娘で遣り手のキャリア・ウーマンの大塚久美子社長の2人がほぼ1ヵ月にわたって繰り広げたプロキシ―ファイト(委任状争奪戦)という名の「親子げんか」の終焉である。この日をもって、投資家たちが株価の乱高下に乗じて短期の値ざやを狙う“お祭り”も終わったのだ。

そして第二は、すでに7年が経過したにもかかわらず、リーマンショック以降の環境変化に則したビジネスモデルを見出せず、創業者がバブル期に編み出した経営手法に依存している企業の先行きに対する警鐘である。大塚家具は茨の道に迷い込んだと宣告されたのだ。

創業家による「船頭の座」争いが再燃して「大塚家具」という船が沈むのを防ぐには、大塚家をそっくり経営から切り離して、同家を所有(株主)に専念させることが重要だろう。金融機関でも投資ファンドでも労働組合でもよい。今こそ、再び火種になりかねない勝久前会長と久美子社長を諭して、外部からプロの経営者を招聘するパワーの登場が求められている。

添付した株価の推移(チャート)をみていただきたい。上場家具販売2位の大塚家具と同じくナンバーワンのニトリの先週末までの株価の動きは、両社の経営の実情を浮き彫りにしている。

株価の動きは好対照

大塚家具の株価は、2月26日から乱高下を始めた。それまで1000~1100円前後で推移していたものが、立会いベースで4日目の3月3日には一時2.5倍近い2488円まで急騰した後、勢いが続かず、前日比203円安の1840円でその日の取引を終えるという波乱の展開になったのだ。

原因は、長女・久美子社長が率いる会社が、対立していた父・勝久氏の取締役再任を拒否する方針や、2015年12月期から配当を従来の2倍に増やす計画を公表したことである。その後、3月27日の株主総会当日まで、配当を3倍にする株主提案を掲げた勝久氏とのプロキシ―ファイトが激化の一途を辿り、株価も乱高下を繰り返した。ただ、株価水準そのものはどちらかといえば切り下がっていく方向にあった。

対照的だったのがニトリの株価だ。大塚家具の乱高下を他所に、もともと高水準だった株価が右肩上がりの上昇軌道に乗ったのである。7600円台だった株価はほぼ一本調子で上げて、8500円を超える場面もあった。ライバルの苦境が一段と長引き、一人勝ちがますます確固としたものになる、とでも言いたげな動きを、ニトリ株は見せたのである。

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