佐々木俊尚「ブレイクスルーな人たち」
2015年03月27日(金) 佐々木 俊尚

Viibar上坂優太【第3回】「作ることが作り手にとってきちんと仕事にならないと、世の中はひっくり返らない」

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佐々木俊尚氏と上坂優太氏
2013年から動画制作のクラウドソーシングサービスを提供している株式会社Viibar(ビーバー)。「クライアントとクリエイターを直接つなぐ」という新しい概念を打ち出し、1年足らずで3億円の資金調達をしたことでも注目を集める。企業が広告や販促にウェブ動画を使うことが一般的となり、急成長を遂げる同社代表の上坂優太氏に、動画制作の可能性について佐々木俊尚氏が切り込む。「動画の時代」と言われるいま、なにが起こっているのか、そう遠くない未来にどんなことが実現されようとしているのか。(文・田中裕子/写真・瀬野芙美香)

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データに勝る、クリエイティブの力

上坂 私たちが大切にしている哲学は、クリエイティブを作れるのは人間だけだ、ということです。だから、あくまでデータも「提案」にとどめて、「こうしろ」とは言わない。データを活かして動画を作ったら必ずバズるコンテンツが作れると思ってはいないんです。もちろん打率を上げることは可能です。でも、最後のジャンプを生むのはクリエイティブの力だし、それを吹き込めるのは人しかないんです。

佐々木 そうですよね。

上坂 この前提を踏まえずに「データがあればなんでもできる」と思っているとジリ貧でしょう。我々ができることの諦めがある、と言えばいいのかな。クリエイティビティの拡張はできるけれど、代替はできませんから。

佐々木 僕もビッグデータについて話すと「人間の世界がデータで分析できるわけないだろう」ってアナログなおじさんたちに言われることがあるけれど(笑)、そのたびに「数値化して、データ化して、構造化して、それでも最後に残るのが人間性なんだ」って反論するんです。そうすることでより人間性が浮かび上がるんだ、と。

上坂 分かります。データでサポートできることや、テクノロジーで効率化できるところ、一方で人にしかできないことを明確に分けるべきです。例えば効率化でいえば、アニメーションの世界はもっとできることが沢山あると思います。たとえば、誰でも知っている有名なアニメーションの制作現場って、同じような角度のキャラクターを毎回スクラッチで描くんです。ほとんど同一のコマを毎回ゼロから描いている。ここに魂が宿ると言われればそれまでですが、制作費も潤沢にあるわけではない現場でそれをやるとスタッフが疲弊します。ディズニーなんかはToon Boomみたいなソフトを使って制作の効率化をしていっている。効率化できるところはテクノロジーの力で徹底的に効率化し、残った人にしかできない部分に力をかける。私は、その方がクリエイティブなんじゃないかと思っていて。だから、Viibarもそういうクリエイティブを大切にしていきたいんです。

佐々木 テクノロジーやデータを使うことで、人間がやるべき上澄みに集中できるようになる、ということですね。そうそう、ちょうど昨日も知り合いのマーケターが、「映像制作会社の人はデータの価値を理解しようとしてくれない」と悩んでいました。俺らは好きな物を作るんだ、と頑ならしくて。そういう意識は業界全体として強いんですか?

上坂 うーん……二極化しているでしょうね。データやテクノロジーをどんどん活用していって、新しい動画コンテンツの作り方を模索していく方、やはりこれまでように感性のみで作っていく方。

佐々木 成功体験がありますからね。長年やってきて否定されるのがつらいのはわかりますが。

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