佐々木俊尚「ブレイクスルーな人たち」
2015年03月26日(木) 佐々木 俊尚

Viibar上坂優太【第2回】代理店に"丸投げ"状態から、マーケティング戦略として企業が自分たちで動画制作をする時代へ

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佐々木俊尚氏と上坂優太氏
2013年から動画制作のクラウドソーシングサービスを提供している株式会社Viibar(ビーバー)。「クライアントとクリエイターを直接つなぐ」という新しい概念を打ち出し、1年足らずで3億円の資金調達をしたことでも注目を集める。企業が広告や販促にウェブ動画を使うことが一般的となり、急成長を遂げる同社代表の上坂優太氏に、動画制作の可能性について佐々木俊尚氏が切り込む。「動画の時代」と言われるいま、なにが起こっているのか、そう遠くない未来にどんなことが実現されようとしているのか。(文・田中裕子/写真・瀬野芙美香)

⇒第1回はこちらからご覧ください。

動画の価格感が曖昧な理由

上坂もう一つ、動画制作のいびつな構造を解決できれば、クリアな価格体系をつくれるとも考えました。

佐々木 確かに、動画制作はいまいち価格感がわからないという問題がありましたよね。テレビCMを打つとなると何千万も予算がかかるけれど、ウェブだとどうなんだ。いや、そもそもテレビCMの価格は妥当なのか、と。

上坂 おっしゃる通りです。

佐々木 かつて、ニコニコ動画にテレビ局から人材が流れていったことがありました。そういう人はやたら高い機材を買いたがる、と社内で問題になったらしくて。無駄に立派なカメラを揃えちゃったりね。

上坂 あのバズーカみたいなカメラをニコニコで(笑)。

佐々木 ニコニコって画質が求められているわけじゃないし、そこそこのカメラで十分でしょう? それで、川上量生さんが怒って、最終的にはそういう「昔の習慣」が抜けない人たちを外しちゃったという話を聞きました。やっぱりテレビとウェブの妥当な金額は違うわけですよね。

上坂 昔はそれこそ、放送ならENG(肩に担ぐ大きなカメラ)でベータカムに収録だったり、映画なら35mmフィルムでみたいな、高度な映像制作専用の設備が必要だったんですが、技術革新が進み、今はそれなりのクオリティの動画であればそんなもの必要ない。5Dのような一眼でシネマライクな撮影ができて、ラップトップ一台で編集加工できちゃいますからね。……この、「できてしまう」ということを、業界は積極的に公開してこなかったわけですが。

佐々木 隠していたということですか?

上坂 隠していたかどうかは分かりませんが、技術革新によるコストの変化は、ブラックボックス化されてきたと思います。だからおっしゃるとおり、「価格感」がわからないのは当然なんですね。

佐々木 なるほど。せっかく資本力を武器にして買い集めた機材を無駄にはしたくない、という気持ちがあったわけですね。

上坂 真意は分かりませんが、資産を持っている以上、そういった慣性は働きやすいですよね。これまでの動画制作の業界は、「規模の経済」でした。機材、社内クリエイター、資本……つまりヒト・モノ・カネのアセットを持っているものが勝者だった。資本とクオリティが正の相関関係にあったわけです。でも、技術革新が進み、動画制作自体がいわば民主化を迎えると、必ずしも正の相関ではなくなる。そうなると、持たざる経営の方が合理的な選択になってきます。大量の機材も、撮影用に多額のファイナンスもいらない、だったらもっとクリエイターの実入りを増やしたほうがいいよねと。

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