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ベア4000円で春闘を引っ張ったトヨタの豊田章男社長。2020年まで視界は良好?  photo Getty Images

確かに上がっているが消費税はカバー出来ていない

参議院の予算審議で、実質賃金をどう考えるか論戦があった。民主党の小川敏夫氏が、物価上昇分を差し引いた実質賃金は19ヵ月連続で下がっていると指摘したのに対して、安倍晋三首相は、「消費税の3%の引き上げ分を除けば、総雇用者所得は昨年6月以降プラスだ」、さらに「今年の4月には消費税率引き上げ効果は剥落して(実質で)プラスになっていく可能性は十分ある」と答えた。

1月の実質賃金は前年同月比1.5%減だ。

賃金は確かに上昇しているが、消費税増税分まで含めた物価上昇率に追いついてはいないのだ。普通の生活をしていると消費税は払わなければならないのだから、平均的勤労者が実質的に貧しくなっていることについて、首相は現実を認めるべきだろう。

端的にいって、アベノミクスは賃金に対してプラス効果を持っているが、昨年消費税率を8%に引き上げたことは失敗であった。賃上げは今のところその失敗を打ち消すほどの規模になっていないということだ。

一方、読売新聞(3月17日朝刊)によるとエコノミストの多くは15年春闘の賃上げを2.5%程度と見込んでいるという。この程度の賃上げが実現するならば、2015年度に入ってやっと、実質的な雇用者所得が消費税率引き上げ前を上回る可能性がある。

但し、「今年の4月には消費税率引き上げ分効果が剥落」するのは確かだが、これは、対前年比で統計を見る場合に印象が変わるだけのことなので、首相は、これを以て勤労者の所得が改善していると胸を張らない方がいい。言葉尻に意地を張るタイプの安倍氏がいかにもやりそうな間違いなので、少し心配だ。

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