慎泰俊「プロフェッショナルの作法」

横山禎徳【第4回】「成し遂げたいというより、知りたい。行き当たりばったり、興味の赴くままに追求しているだけ」

2015年03月17日(火) 慎 泰俊
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慎泰俊氏と横山禎徳氏

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仮説検証を繰り返す「循環思考」

慎泰俊: 横山さんは、物を深く、長く考えるという印象が強くあります。『循環思考』という本でも「100回考えるんです」と書かれていますね。思考の訓練という点で、普段から自分に規律を課したりはするんですか?

横山禎徳: 規律なんてないんですよ、別に(笑)。

慎: でも、適当に考えたりはしないじゃないですか。ちゃんと自分なりのやり方みたいなものがあるんじゃないですか?

横山: 「よく考える」というのはどういうことかというと、別にちゃんとした方法論はないわけで、仮説を作っては壊す思考をくり返すことです。だから、どこにいたってできるんですよ。ヒマがあったら考えてみるということです。

それから、私は子供の頃から、ボーッといろいろなことを考えている子だったと思うんですよ。無口だったし。そういう体質ではあったわけで、建築家を選んだのもあんまり人と会いたくないからというのもあったわけです。

慎: だったら絵を描いたりしたほうが人に会わなくて済むと思うんですが。

横山: 絵も描いていましたよ。だから子供のころはクルマの細密画なんかも描いていたわけだし、大学では絵画クラブだし。だから、マッキンゼーに入ったときに、それがまったくひっくり返っちゃったわけ。口先の商売だというので、ビックリして話し方教室に通ったくらいなんですよ(笑)。しかも、パートナーになるまで「ため息を吐くコンサルタント」って綽名があった。一語一語喋るたんびに「はぁーっ…」とため息を吐くからというので。だから向いていないと言えば向いていないんですよ。

ネットというのは、Twitterが典型的だけどすぐ吐き出しちゃうじゃない。2回も3回も考えたりしないよね。それはそれで新鮮さはあるんだけど、くり返し考えるという訓練が消えちゃうんですよ。私は幸いにしてネットが出てくる前の時代に生まれ育っているから、建築の作業もそうだし性格的にもそうだから、グジグジと白昼夢のようにくり返し考えるんですよ。

「あれかこれか」ではなく「あれもこれも」

慎: とはいえ、最近は私たちの世代はおっしゃる通り堪え性がなく、わからないことがあったらググればいい、と考えがちですね。

横山: それはそれでいいんだけど、そうじゃない思考もあって、「あれはあれ、これはこれ」で両方できなきゃダメだと思いますね。私は「あれかこれか」という二者択一の議論は大嫌いで、「どちらが大事ですか」じゃなくて、両方とも大事なんですよと。

「あれかこれか」なんて言っているといつまでたっても結論なんか出ないわけで、だから、「あれもこれも」なんですよ。「あれもあるんだったらこれもある」という発想をしなきゃいけないわけ。グローバリズムがあればリージョナリズムがあり、ハイテクがあればハイタッチがある。それを私は補完概念と言っています。「高齢化社会で大変だ」とみんな言っているけど、高齢化社会って年齢不詳社会になるんですよ。

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