経済の死角

住宅ローンが安くなったと、喜んでいる場合ではない この異常な低金利は「国債暴落」の前兆である

2015年03月11日(水) 週刊現代
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メガバンクは気付いている

国内の中堅メーカーに勤める営業職の上坂利夫(36歳・仮名)さんは今年、念願のタワーマンションを手に入れた。東京湾岸地域の3LDK。決断の決め手は超低金利の住宅ローンを借りられたことだった。借り入れ条件は変動金利で年0・775%。4000万円を35年ローンで借りた。これなら月々10万円強の支払いで返済できる。憧れのタワーマンション暮らしという夢を上坂さんは実現させたのだった。

だが、喜んでばかりはいられない。今でこそ過去最低の住宅ローン金利だが、この水準がいつまでも続く保証はまったくないのだから。段階的に金利が上昇し、仮に現在よりも2%上がれば、上坂さんの毎月の返済額は15万円程度に膨らむ。返済計画はあっという間に狂ってしまうだろう。

実際、住宅ローン金利は不穏な動きを見せている。2月25日、三菱東京UFJ銀行が3月の住宅ローン金利(10年固定型・最優遇金利)を0・1%引き上げて1・2%とした。2月に入って、金利が一時的に急騰したのを受けてのことだ。この動きに追随し、みずほ銀行も住宅ローン金利を引き上げた。変動金利こそまだ据え置かれているが、今後いつ上昇に転じるか、予断を許さない。

日本銀行による巨額の国債買い入れで、異常な低金利が続いている。だが、こんな状態がいつまでも続くはずがない。日銀の買い入れ能力が限界を迎えれば、金利は急上昇し、日本国債が大暴落する—。世界の市場関係者には今このような疑心暗鬼が広がっている。

EU28ヵ国の在日大使館に勤務する経済担当の外交官は月に一度、定例会を開いているが、最近は日本国債が毎回話題になるという。

「彼らは異常な水準にまで高まった日本国債の発行額に危機感を抱いています。欧州は'10年からギリシャやスペインの国債暴落で危機に陥り、ユーロが暴落して、経済的に苦労しました。彼らはその教訓から、次は日本の国債が暴落し、日本発の世界経済危機が起こることを危惧しているのです。なかでもドイツはこの問題に敏感で、今月来日するメルケル首相が安倍晋三総理に、日本の金融緩和政策に問題はないのか直接問い質すそうです」(国際ジャーナリスト)

アベノミクスと称して、安倍総理と日銀の黒田東彦総裁が結託し、量的緩和政策を導入してからもうすぐ2年。この間、日銀は莫大な国債の買い入れを実行し、国の借金を肩代わりしてきた。その結果、日銀の国債保有総額は267兆円。これは国債発行残高の約3分の1にあたる。

昭和女子大学グローバルビジネス学部准教授の保田隆明氏が解説する。

「現在の超低金利は人為的なもので、将来的に大きなリスクを抱えています。そもそも金利というのは、景気が良いときには上昇し、景気が悪いときには低いものです。ところが、現在、日本の金利は景気の動向に関係なく、政策によって極端に低く抑えられています。日銀は市場にジャブジャブとおカネを投入し、カネ余りの状態を作っている。金利を低くしておかなければ、企業の設備投資や個人の不動産購入が活性化しないからです」

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