経済の死角

やっぱり間違いだったのか キリンとソニー「本社を売ったら、売れなくなった」理由

2015年03月11日(水) 週刊現代
週刊現代
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品川駅近くのソニーの現本社〔PHOTO〕gettyimages

本当に失ったものは何か

「生活に窮して、先祖代々の土地を売ってしまった。仕方なく居候しているが、なんとなく生活にハリがない—そんな心境です」

こう語るのは、キリンビールの営業マン。キリンは'13年に、原宿にあったキリンビール、中央区新川にあったキリンホールディングス(キリンHD)などの本社を売却し、中野のセントラルパークサウスに移った。ちなみに中野のビルは自社ビルではない。

「海外事業の失敗が響いて、資金が必要になったのです。それまでバラバラだったグループ会社をまとめるという前向きな意図もありましたが、やはり古くからの本社を売却して自社ビルでないところに入るというのは気分のいいものではありません」(前出の営業マン)

そんな冴えない気持ちをさらに曇らせるのが、最近の業績内容だ。キリンHDは昨年、株式の時価総額でアサヒグループHDに抜かれ、初めて業界首位の座から転落した。また、ビーム社を買収したサントリーHDに売上高でも抜かれ2位に。業界紙の記者が語る。

「各社が新しい商品を出す中で、キリンはすでに定評がある『一番搾り』や『淡麗グリーンラベル』といった人気商品のリニューアルを行うだけだった。昔から保守的な会社でしたが、それでも本社を売却する前は名門の矜持のようなものがありました。それが自然に商品のブランド力にもつながっていたのに、『都落ち』後は、社員が自信喪失してしまっているのか、打つ手打つ手が中途半端な印象を受けます」

海外事業もふるわない。'11年にはブラジルのスキンカリオール社を約3000億円で買収するなど、海外展開を図ったが、ふたを開けてみれば高値摑みで、収益化もままならない。このままだと売却して損切りせざるを得ず、まさに資産の切り売りだ。

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