文庫の森
2015年03月03日(火)

名探偵・御手洗潔、初の映像化記念 島田荘司×玉木宏スペシャル対談 ---フジテレビ土曜プレミアム『天才探偵ミタライ~難解事件ファイル「傘を折る女」~』3月7日放送決定!

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ミステリー界の巨匠、島田荘司が不朽の名作『占星術殺人事件』で名探偵・御手洗潔を生み出してから34年。映像化が何度か検討されるも、一度たりとも果たされず、夢物語に終わると思われたが、2015年春、ついにドラマとなって世に出た。

原作は「傘を折る女」(講談社文庫『UFO大通り』所収作)。主演は今もっとも注目されている俳優の一人、玉木宏。原作者の島田さんと玉木さんの特別対談をお届けしましょう。

* * *

「巧みな原作、実力ある演者、卓越した映像美。
すべて揃った奇跡のアンサンブル」

 

原作者も納得の素晴らしい出来だった

『天才探偵ミタライ~難解事件ファイル~「傘を折る女」~』主演の玉木宏氏

島田 『天才探偵ミタライ~難解事件ファイル「傘を折る女」~』を観せていただきました。とても素晴らしい仕上がりで、感激しました。私が生み出した御手洗潔というキャラクターは映像化するのは難しいと思っていたのですが、玉木さんならできると確信していました。それが期待以上の出来で、原作者としてたいへんうれしく思います。あらためてお礼申し上げます。

玉木 いえ、こちらこそありがとうございました。初めて台本を読んだときは、原作の魅力をぎゅっと凝縮したような内容で面白いと思いつつ、同時に「これは非常にハードルが高い仕事だぞ」と感じましたね。たとえば堂本光一さんが演じる石岡(和己)君が、勝村政信さん演じる高橋義彦刑事に「いま機嫌が悪いんですよ」と耳打ちするシーンがありますよね。これは、高橋刑事は気づかないけど、長年の相棒である石岡君には御手洗の機嫌が悪いことは伝わっているということです。つまり、そのときに御手洗が発しているサインは、石岡君だけが察知することのできる非常に微妙なものということになるはずですが、「これはどうやって表現すればいいのだろう?」と、だいぶ戸惑いましたね。それがうまく観ている方に伝わればいいのですが。

島田 大丈夫ですよ。少なくとも私は、なんの違和感も覚えず、観ることができました。玉木さんだからこそ、そういうハードルを超えられたんだと思います。

小説としての御手洗潔シリーズは、1981年に始まりました。私のデビュー作でもある、『占星術殺人事件』がそれですね。そして、御手洗を主人公とした続編を何作か出版したところで、ドラマ化のオファーがありました。でも当時私が会ったテレビマンたちは、高度経済成長の残滓もあったのでしょう、御手洗の個性に肯定的とは到底思えませんでした。先ほど玉木さんが言われたように、御手洗は簡単には演じきれないキャラクターなのですが、時代の要請を入れて、上から目線で手早く仕事をされそうでした。

また、私が「これでは映像化を許諾できないな」と感じた理由は、その結果視聴率が悪かったり、出来がひどかったりしたら、もう御手洗が書けなくなる恐れがあったからです。「ドラマが大失敗しても、小説は別物だから気にしなくても」と言ってくれる人もいましたが、当時の編集者の中には「あんなドラマの主人公は、もう書いてもらわなくて結構」と発想するような人が大勢いました。つまり世の中、テレビも活字もその種の〝威張り〟で埋まっていたんです。

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